第579話 察知
「どうしたっ!その程度かっ!?」
「くそっ……!」
康生に向かって総攻撃を繰り返す異世界人と人間達。
しかし康生を倒すどころか、傷一つつけることが出来ないことにただただ歯がゆい思いをし続ける。
「やれっ!たかだか人間一匹程度に何を手こずっている!」
だが国王は未だに諦めない様子でひたすらに康生を倒すように命令する。
「で、ですがっ、奴は魔力暴走を止めるほどの力をっ……」
しかし兵士達はそんな国王とは裏腹にただただ康生の圧倒的に力に恐れをなしているようだった。
なにせ康生一人で両陣営の総攻撃を全て受けきってみせた。
しかも異世界人達は羽の生えた異世界人達をほとんど失うほどまでだ。
何より魔力暴走をした異世界人を止めたという実績も大きかった。
そんな圧倒的な力を前に、兵士達はすでに戦意は失せていた。
「くそっ!何を言うかっ!あんな人間ごときにっ!」
「そうだっ!ここまでこけにされて黙っていられる訳がなかろうっ!」
国王達はそう豪語すると、尻込む兵士達の前に立ち自らが戦闘に立とうとする。
異世界人の国王が国王と言われる所以は王族の血だけではない。
類稀な力を持っていることも国王となるための条件でもあるのだ。
「おぉっ、国王様達がついに動き出すぞっ!」
一国の王をしているからこそ兵からの信頼は厚い。
国王自らが戦闘に参加することで兵士達の士気も再び戻ろうとしていた。
「くそっ!我々も負けてられないぞっ!皆の者!武装解除だっ!もう出し惜しみなどしてられん!康生を倒すことだけを考えろっ!」
そして人間陣営もまた全力で康生を潰すために武装解除を行う。
今や武装解除を行うことで人間は空中でも自在に動けるだけの力を手に入れていた。
魔法に頼っていた人間達だが、それでもやはり己の肉体、己の修練された剣技があってこその兵士だ。
「皆の者いけっ!」
国王の命で人間の兵士達はそれぞれ武装解除を一気に発動する。
瞬間今まで地上で魔法や銃を撃つだけだった人間の兵達は一斉に宙に浮き康生へと向かっていく。
そして国王達も動揺に空を飛べる者は空中に、そして地上にいる者は膨大な魔力を込めた魔法を放つ準備をしていた。
「康生っ!気をつけるのじゃっ!国王達の力は本物じゃぞっ!」
「それに人間達も皆本気で殺しにかかってるわよっ!」
両陣営の動きを察知したリリスとエルはすぐさま康生に報告する。
「任せろっ!」
しかし康生はそんな状況の中でも、楽しそうに笑みをこぼすのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます