第577話 一直線

「どうしたっ!お前達の力はその程度かっ!」

 康生はさらに煽るように叫んだ。

 それに感化され、人間達も異世界人達も康生に向けて好戦的な視線を向ける。

「空中部隊よっ!突撃せよっ!」

 すると異世界人の中から背中に羽が生えた異世界人達が一斉に飛び立って康生へと向かっていく。

 さらに地上ではそれぞれ様々な魔法を展開し、康生へと向かって放たれる。

 炎の玉や槍、雷や風や水など様々な属性の魔法が康生に降りかかる。

 全方位から時差を考えての攻撃からは康生が反応できないと思っての攻撃だったのだろう。

 さらに魔法が打ち消された時の考えて空中から連続攻撃を仕掛けるために異世界人を配置した。

 まさに全力で康生を倒すために異世界人は動きだした。

「康生っ!」

 異世界人達の本気の攻撃を見たエルは咄嗟に康生に呼びかけた。

 だが康生はそんなエルに向かってにこやかに笑いかけると同時に迫ってきた魔法達を軒並み打ち消してしまう。

「まだだっ!」

 時間差での攻撃も意味がないと知ったが、それでも近距離からの波状攻撃が続く。

 主に魔法を纏った武器を手に康生に向かって次々と突撃していく。

 数にしておよそ数百もの人数だった。

 だが康生は鬼気迫るほどの迫力に怖じけることはせずに堂々と向き直る。

「はっ!」

 気合いを入れるためのかけ声とともに康生はグローブを構える。

 そうして次々と迫る来る攻撃の対処をする。

 前方から迫ってくる槍を折り、すぐに上下から迫る攻撃を回避し攻撃を入れる。

 だが攻撃を倒れていく異世界人の背後から魔法を放たれるが康生は難なく回避する。

 回避した先に数十人の異世界人が左右上下の全方位で構えていたが、瞬時に力を解放して弾き飛ばしてしまう。

 まさに圧倒的なまでの力だった。

 数百あった数はすぐに減少していき、すぐに百をきり五十をきり、十人をきった。

 しかも全ての異世界人を殺すことなく、かろうじて空中へ受ける程度のダメージを与えるほどの完璧さだった。

「くっ!ひ、ひるむなっ!」

 異世界人達が次々とやられていく中で、国王達は焦りの表情を浮かべながらすぐに地上から魔法を放つよう指示をする。

「我々もやるぞっ!」

 そしてその隙を狙って康生の意識の外をつくように人間達も魔法や銃での攻撃を始める。

 しかし康生は突然の攻撃にも瞬時に対応し、全方位から迫り来る攻撃に対しても全て完璧に対応してみせた。

「やれっ!」

 そんな中で異世界人達は一層大きな魔法を生成し康生へと放った。

 それは近づくだけで一瞬で蒸発してしまいそうなほどの熱を持ったものだった。

 それが風の力によって康生に向かっていき、さらに雷の力を使って一直線に、そして光速の速さに迫るほどのスピードで向かってきた。

「この程度っ!」

 だが康生はそれにもめげることなく立ち向かうのだった。

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