第576話 無効化
「行くぞっ!」
異世界人、人間がお互いに進行を始めた直後に康生は瞬時に空中へと飛び上がる。
それによって両陣営はわずかに康生を見て立ち止まる。
その隙を見計らって康生は両手をそれぞれの陣営の前にかざす。
「止まって下さい!」
叫ぶと同時に康生は両手から衝撃波を放ち、両陣営のそれぞれ数メートル先に小さな穴をあける。
「くそっ!やはり貴様等は敵だったのだな!?」
「リリス!協定はどうなったのだ!?」
康生の突然の攻撃により、人間側も異世界人側もそれぞれすぐに反発した。
「俺は戦うつもりはない!だが両者が戦おうとすれば止めざるを得ない!それに元々異世界人との協定は人間との戦いに関して俺達に一任するということだったはずだ!」
だが康生はめげずに異世界人達に反発した。
「その戦いはもう終わったはずだろう!」
しかし協定をしたはずの戦いはすでに終わっていると異世界人達は言い返す。
確かに人間との戦いは一度決着がついた。
だから協定の内容は終わったと異世界人は主張するのは至極当然のことだった。
「とにかくっ!」
それでも康生はめげずに声を張り上げる。
人間と異世界人達で戦わせてはだめだと、そういう強い思いが康生を駆り立てる。
「お互いに戦おうというのならばまずは俺を倒してからにしろ!俺一人も倒せないような奴等はどうせ戦争をしても負けるだけだ!」
だから康生は煽るように声を張り上げた。
「何を言うかっ!あまり異世界人を舐めるではないぞっ!」
「お前一人倒すことなど訳ないわっ!」
当然それぞれの陣営は康生の言葉に怒りの表情を浮かべる。
異世界人達の人数はおよそ数万に上る。そして人間達もエルの治療のおかげで全員体は万全の状態だ。
そんな人数から一人で攻撃を一心に受ければ、当然普通の人ならばあっという間に死んでしまう。
だが今の康生は、そんな苦境をものともしなかった。
「死ねっ!」
まず最初に動いたのは異世界人だ。
巨大な雷の槍や炎を纏った小さな竜巻を生成して康生に向かって放っていた。
だが康生はそれを一瞬のうちに打ち消してしまう。
「なっ!?」
康生の実力は先ほどの戦いで見てきた異世界人達だったが、こうも一瞬で魔法が打ち消されたことに驚愕の表情を浮かべていた。
何より康生が魔法を打ち消した技を見破ることが出来ずに困惑しているようだった。
「やれっ!」
そして人間達も動揺に、康生に向かって攻撃を仕掛ける。
こちらは小さな魔法を全方位に展開させ、さらに魔法をまとわせた銃弾を何発も放つ。
だが銃弾は康生にたどり着く前にはじかれ、魔法も先ほどと動揺に打ち消されてしまった。
「どうしたっ!お前達の力はその程度かっ!」
康生はそんな両陣営の攻撃を一瞬で無効化したことで、さらに威圧的に叫ぶのだった。
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