第564話 連絡

「くそっ、奴らやはりいないぞ!」

 兵士達が荒野を進む中、兵士達はすでに康生達と別れた場所へと戻ってきていた。

 だがそこまでの道中、康生達を見かけなかったことで国王は不信感を募らせていた。

 国王はすでに康生達を改めて敵と認識しているようだ。

 恐らく次出会った時は再び戦いが始まってしまう、そんな雰囲気だった。

「とにかく探せっ!化け物全員探し出せっ!」

 そんな怒りを込めて国王は兵士達に向かって叫ぶのだった。




「――おかしいぞ。どこにもいないじゃないか」

 荒野のとある地点。そこで異世界人の部隊を連れた国王が一人立ち止まっていた。

 周囲を散策し始めておよそ数十分もの時間が経っていた。

 裏切り者を探しているが、その痕跡すら見つからないということに国王は違和感を覚えていた。

 各国の部隊がそれぞれ捜索範囲を広げて探しているのに関わらずだ。

 そのことに流石に国王達は違和感を覚え始めていた。

「もしやあやつらが嘘の情報を……?」

 国王達はだんだんと上代琉生の策略に気付き始めていた。

「どう思うクロスよ」

 そして国王は一緒に行動していたクロスに現状を尋ねる。

「まぁ裏切り者の人数も分からない状況だからな。だが完全にあいつらを信用できるかといえばそれはまた別の話だ」

 クロスは上代琉生の作戦を知っているが、協力を関係を結んでいる以上は真実を話すわけにはいかない。

 だがそれでも自分に不利益になると判断したクロスは、ここで疑わないという選択肢はとらなかった。

「そうだな。やはり他の国王を出し抜くためにもここは別の範囲を調べてみる必要かあるか?」

「だが本当にこちらの方向に逃げているとしたらどうするつもりだ」

 しかし完全に上代琉生の情報が嘘だと判断も出来ない以上、どうすることも出来ない。

「それは無視できないが……、もしそうなら他の国王に渡してやる。我は自分の信じる方法でやらせてもらうぞ」

「……分かった。じゃあ俺は引き続きこっちを探すことにする」

 そうしてクロスと共に行動していた国王は反対方向へ向かって進んでいった。


「――時間稼ぎが終了したぞ。これからどうするつもりか……」

 国王が進んでいくのを見ながらクロスは康生達を心配する。

 そして一応約束のためクロスは上代琉生に無線を飛ばす。

「さて、我々はこれからどうしようか」

 別の国王の元にでも合流しようかと考えたクロスだったが、しかしすぐに上代琉生から連絡が入る。

「――ふっ、なるほどな」

 連絡の内容を見たクロスはわずかに頬を緩ませるのだった。

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