第549話 意図

「ふぅ……。なんとか制圧できたな」

「そうだね……」

 康生達は無事に異世界人達を拘束することに成功する。

 初めは苦戦していた康生達だったが、すぐに仲間との連携に慣れ一瞬のうちに制圧することに成功した。

 とはいってもこれはまだ敵のごく一部にすぎないだろう。

 あれだけの数の火の玉を放ってきたのだ。

 恐らく今戦った数より数倍の部隊が配置されているに違いない。

「とにかくここは隊員達に任せて私達は先に行きましょ」

「そうだな。一刻も早くこいつらを止めないとな」

 ここで考えても仕方ないということで、康生とエルはすぐに足を進めることを決める。

「隊長達も敵の拘束に成功したみたいですから、すぐに出発するようです」

「そうか。やっぱり向こうにもいたか」

「そうみたいですね」

 左右に別れて進んだものの、これだけの部隊があとどれだけ配置されているのかを思うと康生はため息をこぼす。

「とにかく俺達もすぐに行くぞ」

「はいっ」

 だがいくら嘆いても状況が変わることはない。

 だから康生達はすぐに次の敵を探しに足を進めるのだった。




「向こうも無事戦闘が終わったようだ」

「そうか。まぁ、康生達が負けるはずがないか」

 丁度奈々枝からの無線を受け取った上代琉生がリナさんに報告する。

 同時に拠点への攻撃が止まった報告を受けた上代琉生はすぐに隊員達を集めて指示を出し始める。

「どうする?拠点にいる奴らも動かせるか?」

「いや、拠点にいる人達はひとまず待機させて起きます。恐らく敵はそのまま拠点に乗り込むつもりです。ですがその前に俺達が後方を潰せば挟み撃ちが出来ます」

「そうか。ならすぐに進むぞ」

 上代琉生の作戦を聞き、リナさんはすぐに兵士達を集めて次の場所へ移ろうとする。

「――どうした?」

 だが上代琉生は一人、何かを考えるようにじっと立ち止まっていたのを見てリナさんは声をかけた。

「いえ、敵の意図が分からなくて……。ここで攻撃をすれば異世界人達との約束の手前、明らかに不利になることは分かっているはずなのに、どうして俺達を攻めてきたのか……」

「確かに、あの約束は全国民が聞いている中で結んだものだからな。しかし現に攻撃が起きている」

「はい。まるで国王達が不利になるのを狙っているような……」

 敵の真意を考えるも、やはり確証がない状態では何を言っても空想にすぎない。

「国王達の不利、か。確かにあり得ない話ではない。だがそうなった場合、国民が離れ我々に有利な展開になるのは確実だ」

「そうなんですよ。だからなおさらこの攻撃の意図が読めないんです。まるでもっと別の大きな何を狙っているような……」

 上代琉生は必死に考えるのだった。

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