第520話 直後
「くそっ、このガキ以外にもこれほどの使い手がいようとは……」
時雨さんとリナさんの邪魔が入ったことで、雷の物体が魔力を吸収出来なくなり指揮官は苛立ちの声をもらす。
「くそっ!まずは奴らからやれっ!」
邪魔者を消すため、指揮官は物体の中から指示を出す。
どうやって命令をやっているのか分からないが、雷の物体は指揮官の言う通りにターゲットを康生からリナさんと時雨さんに移す。
「時雨っ!気をつけろっ!奴ら我々を狙っているぞっ!」
「分かってるっ!だ、だか康生の相手だけでも手一杯だっ!」
「そこを私達でなんとかするんだっ」
魔力暴走をしている康生の攻撃は一撃でも食らってしまえば死んでしまう。
現状は頭を使って攻撃されてないので、ただ一直線に攻撃を繰り出してくるだけだ。
なので装備の力もあった今までぎりぎりのところで攻撃を回避し続けていた。
二人の力では康生に攻撃を仕掛けることも出来ず、ただただ回避を続けるだけだった。
その中でさらに雷の物体からも攻撃を向けられてしまえばたちまち死んでしまう。
それでも康生を助けるため、時雨さんとリナさんはその場から逃げることはしない。
「すぐに殺してしまえっ!」
指揮官の怒声と共に雷の物体が二人へ攻撃を仕掛ける。
「ここは私がっ……!」
時雨さんに任せるには力不足と思ったからか、リナさんが雷の物体と対峙しようとする。
だが敵は魔力を吸収する。
異世界人であるリナさんだからこそ不利だった。
「リナっ!危ないぞっ!」
「ぐっ!」
しかし康生を目の前にして、別の敵の相手をすることは不可能に近い行為だ。
ただでさえ光速の動きで攻撃してくるのだ。
一瞬でも隙をみせてたらすぐさま攻撃を叩き込まれてしまう。
「ちっ!」
二人を相手にしてリナさんは舌打ちをこぼす。
ここは魔力を使ってでも回避すべきだと判断する。
「康生のことは俺に任せろっ!お前等はそっちを頼むっ!」
リナさんが覚悟を決めて魔法を放とうとした直後、ザグの声と共に康生の体は吹っ飛ばされる。
「ふっ。遅いっ」
ザグの声を聞いたリナさんは小さく微笑むと、すぐに魔法を中断して雷の物体の攻撃の対処に移る。
「ザグっ。一人で大丈夫なのかっ!」
吹っ飛ばされた康生を見ながら時雨さんはザグを心配する。
「あぁ。任せろ。こんな道具まで使って康生に負けてたまるかよっ!」
半ば意地のようにザグは吠えて、康生と向かい合う。
「ならば任せるぞザグ」
「おう」
しかしリナさんはそんなザグの言葉を信じて康生の相手を託す。
「さぁ、我々はザグと康生の為にも奴の相手をするぞ時雨」
「あ、あぁ。分かったよ」
そう言った直後、吹き飛ばされた康生が起き上がりザグへまっすぐだに視線を向けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます