第519話 即死
「ザグも準備が出来次第すぐに英雄様の元へ行って下さい。そこで今後のことはリナさんから教えてもらって下さい」
「おうっ」
特製の装備を装着したザグはすぐに康生の元へと移動をする。
特別な装備の効果は絶大なもので、あれだけ苦しかった暴風を全く感じることなく移動出来た。
「はっ、こりゃすげぇやっ」
装備の性能に関心しつつ、ザグは思い切り速度をあげる。
これで自身も何か出来るのだと躍起になっているようだった。
「それでこれから一体どうするつもりなの隊長?」
ザグを見送った後、奈々枝は改めて上代琉生に尋ねる。
「あぁ。今から英雄様の動きをしばらくの間止めてもらう。その隙に俺達で英雄様の魔力を一時的に使えなくする」
「英雄様が作った例のあれを使うの?」
元々奈々枝が考えていた作戦を思い出す。
「いいや。あれよりももっと強力なものだ」
だが上代琉生が使おうとしているのは、康生が作ったものより強力なものだという。
もしかすると異世界で何かを調達したのかと重い、とにかくこれ以上は何も聞かずに奈々枝はすぐに上代琉生の指示を待つ。
「奈々枝はいまからすぐに行ってほしい場所がある」
「分かった。そこで何をすればいいの?」
「ついたら分かる」
「分かった」
短く言葉を交わした後、奈々枝はすぐに指示された場所へと隊員をつれて移動する。
「私はどうすればいいのよ」
最後に残ったエルは、自分も皆の役に立つためやる気を出す。
「エルさんはしばらく俺と一緒に英雄様の元まで来て下さい」
「康生のところに?」
今までは回復役としてずっと後方にいたエルだったが、この時初めて前線に行くように言われて少しだけ困惑する。
でも自分も皆の前に立って戦うことが出来るのだとエルは自分を鼓舞する。
「でも私に出来ることなんてあるの?」
「はい。エルさんにしか出来ない特別なことがあります」
上代琉生はそれだけ言うとすぐにエルとともに移動を始めた。
「くっ、こいつらは一体なんなんだっ」
雷の物体の中から指揮官は苦言を漏らす。
今まで康生の魔力を一方的に吸収していた。
なのに突然現れた二人の力によって、康生の注意が雷の物体よりもそちらに向いてしまい、思うように魔力を吸収出来ずにいた。
「康生っ!正気に戻れっ!」
「貴様っ!そんなことでエルお嬢様の夢をかなえられるのかっ!」
時雨さんとリナさんはそれぞれ力と体をフルに使って康生の相手をする。
だが康生の力は絶大。
一発でも食らえば即死してしまう。
そんな中で、二人は少しでも時間を稼ぐために康生の前に立つ。
康生を助けるために。
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