第461話 絶叫
「す、すごいっ速いねっ!」
「ほ、ほんとだな……。魔法も使わずにこれだけの速度を出せるとは……」
トラックの速度にエルとリナさんが驚きの顔を見せる。
その速度はリナさんがいつも空中で出す速度となんら変わらないものだった。
それが魔法もなしに行われていることに大きく驚いているようだった。
「ほんとだな……。これがもし昔の国だったら確実に逮捕されるだろうな」
「確かに……この速度で道路なんか走れませんしね」
そしてすぐに時雨さんと上代琉生も意見を漏らす。
「今の時代だからできたことだよ」
そんな皆の意見に少しだけ康生は鼻を高くする。
「でもこれ本当に止まれるの?」
もの凄い速度で走っているからこそ、やはり心配になるようだった。
今だってこんな速度で走っていることが不思議でならないみたいだった。
「だから安心して。本当に大丈夫だから」
「でもこんな速度でブレーキ踏んだらそれこそ車体が壊れるんじゃないのか?」
安心と聞くはものの、上代琉生はどうやって停止するのかが疑問に思ったようだった。
「確かに……それだと止まるのに相当苦労しそうだが……。それに確か機体が壊れると言っていたな?」
そしてリナさんもまたトラックが壊れるという話を思い出して再び康生に尋ねる。
「大丈夫ですって。停まる時は確かにトラックが壊れますけど」
「壊れるのっ!?」
康生の発言を聞いて思わずエルが声をあげる。
「ちょっとまて康生っ。壊れるとはどういうことだ?」
そしてすぐにリナさんも反応して康生を問いただそうとする。
「お、落ち着いてくださいっ」
一気に皆から問いつめられてしまい康生は慌ててなだめようとする。
「え、えっとリナさんの言ったように確かにこの速度で止まろうとするともの凄い負荷がかかる。だから一度使えばこのトラックは使えなくなるって言ったんですよ」
皆を落ち着かせながら説明をする。
「だからこのトラックには緊急用の脱出装置がついているんですよ」
「脱出装置?」
康生の説明を聞いてエルは首を傾げた。
でもこれでようやく皆少しは安心したようでほっと一息ついた。
「そういうことは早めに言ってくださいね英雄様……」
上代琉生も珍しく安心するようにため息をはいた。
「まぁ……でもちょっとばかり大変だけど……」
「ん?なんだと?」
しかしすぐに康生が漏らした言葉にリナさんはすぐに反応する。
「でも大丈夫ですよ。ただの絶叫マシンと思えばいいですから」
そう言って康生は笑って言うのだった。
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