第457話 口
「それでは用意はいいですね?」
「あぁっ!任せろっ!」
作戦会議が無事に終わり、ザグ達は奈々枝の指示の元それぞれの場所に移動する。
「いいですか?あくまでもこれは敵を錯乱させるための罠です。その為に絶対に見つかっちゃいけませんからね」
「分かってらぁ」
ザグ、そして各地に配置された異世界人達はそれぞれ通信に反応する。
そうして今、康生達が到着するまでの間。時間稼ぎのための作戦が始まろうとしていた。
「――な、なんだっ!?」
異世界へと進軍していた兵士達の目の前に突然、地響きが響きわたる。
「慌てるなっ!すぐに状況を把握しろっ!」
突然のことに兵士達は混乱を示したが、すかさずそれぞれに配置されている指揮官達が沈める。
兵士達も指揮官の声にすぐに冷静になる。
それをみる限り敵兵の統制はしっかりとれているように思えた。
「報告しますっ!進行方向にて、突然謎の衝撃波のようなものが地面に打ち付けられた模様で……」
「衝撃波だと?となると異世界人達が我々の動きに勘付いたのか?いや……それにしては少し早すぎる……」
報告を受けた指揮官達はすぐに通信を飛ばして情報を共有させる。
「お前達!ただちに進行を中止せよっ!そして周囲への警戒を怠るなよっ!」
「はっ!」
進行していた兵士の動きを止めて、周囲を警戒するように指示を出す。
そうしてその間、兵士達に周りの状況を確認させて自体の把握につとめようとする。
「敵の影は見えないのかっ!」
「はいっ!現在捜索していますが、未だ見つかってません!」
しばらく様子を伺っていたが、敵の姿を発見できないということで、指揮官は少しばかり頭を悩ませる。
「となると……陽動の可能性が高い……。いやそれにしても異世界人達に見つかるのはいくらなんでも早すぎる……となると可能性としては…………まさかっ」
そこで指揮官はある可能性に気づく。
「おいっ!裏切り者どもを討ち取りに言った部隊とすぐに通信を回せっ!」
「はっ!」
指揮官は何かを思いついたようにすぐに声を張り上げた。
しかしそのタイミングで、
「大変ですっ!」
指揮官の元に兵士が慌てた様子でやってくる。
「どうしたっ!」
「それが!上空に突然竜の影が現れて……」
「竜の影だとっ!?」
兵士の言葉を聞いた指揮官はすぐに上空を見上げる。
「なっ!?」
するとそこには兵士の言葉通り、空に浮かび上がる大きな竜の影があった。
「――今すぐ立ち去れ」
竜の口が開くと、声が辺り一体に響きわたった。
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