第456話 妨害
「様子はどうだっ?」
「今のところ変化はないから大丈夫よ」
「そうか、何かあったらすぐに教えてくれよ」
「分かってるよお兄ちゃん」
数十万も越えるほどの兵隊の進行を遠くから見守る奈々枝。
そしてその横にはザグが立っていた。
「それにしてもお兄ちゃんがいて丁度よかった。私だけじゃ尾行するのも危険だったから」
「そりゃよかった。こっちも康生達の元に行こうにも迷っていたところだからよ」
ザグの背後にはおよそ十数人の異世界人達が控えていた。
どうやらリリスの元から康生達の元へと加勢しに行こうとしてたザグ達と奈々枝が合流したようだった。
現在奈々枝は。地下都市から敵兵がたどるであろう異世界までの道を追いかけてここまできている。
敵兵は大部隊ということで進行速度自体はそこまで速いものではなくすぐに追いつけることができた。
だがそれでももうすぐ異世界へとたどり着こうとしていた。
「それで、そろそろどうするか決まったのか?」
流石に目の前の敵兵相手に戦うことは無謀と判断したのか、ザグは素直に大人しく奈々枝と行動を一緒にしていた。
「ようやく隊長と連絡がとれるようになったので向こうは至急こっちに来るみたいですよ。でも流石に少人数といえど戦闘に時間がかかったみたいで、恐らく敵兵が異世界にたどり着く前にはこれない感じです」
奈々枝は現状をザグに説明する。
「そうか。前にも言ったが、少し程度だが時間を稼ぐことはできるぜ」
「それだけは絶対にだめです。それこそさっきも言ったけど、お兄ちゃんも含めて絶対に誰も知んじゃだめなんだから」
ザグの言う時間の稼ぐ意味を奈々枝は正確に理解している。
命をとしてでもやろうとしているザグに対して奈々枝は口をすっぱくして止める。
「……分かってるよ」
「それに時間を稼ぐ手だては考えてあるので」
「そうなのか?」
「はい。といってもこれもお兄ちゃんの案なんですけどね」
ザグはこの短期間で時間を稼ぐ案を思いついた上代琉生に対して改めて感心した。
「それで、俺らにもやることがあるのか?」
「はい、しっかり協力してもらいますから頑張ってねお兄ちゃん」
「おう、任せろ」
自身も時間稼ぎを手伝えると知りザグは少しだけ安心する。
ザグの性格上、何もできずにただ傍観しているのはあまり耐えられないのだろう。
「よしっ、おまえら俺の仕事だっ」
そうしてザグは敵兵を妨害するための作戦会議をするため部下達を呼びつけるのだった。
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