第443話 全員

 時雨さん達が隊長達を拘束している時、別の場所では康生が戦闘を繰り広げていた。


「ほらほらっ!どうした康生っ!?」


「くっ!」


 雷が纏って光っている剣が光速のスピードで振り降ろされる。

 それを康生が回避する。

 そして回避だけでなくすぐに攻撃も入れようとするが、遠方から銃弾が飛んでくるのでまたすぐに回避の行動をとらないといけなくなる。

 先ほどからその繰り返しで康生は防戦一方になっていた。

「お前に復讐することだけを俺は考えてたんだよっ!だからもっと楽しませてくれよっ!」

 再び光速の斬撃が繰り広げられる。

「くそっ」

 回避せざるをえない状況に康生は歯がゆい思いをする。


 この戦闘が始まったのはほんの数分前のことだった。




「次はここか」

 上代琉生の指示の元康生は潜伏している敵兵を殲滅しに移動していてた。

 それ自体はとても順調で難なくこなせていった。

 しかしある場所で康生は足止めを食らうことになった。

「久しぶりだな康生っ!」

 指定されたポイントへ行くや否や、康生は背後から攻撃をされる。

「おっとっ」

 しかし康生は難なくそれを回避する。

 だが追撃はさらに続く。

「ようやくお前に会えて嬉しいよっ!」

「誰だっ、お前はっ!」

 透明になっているからか、剣に纏っている雷の軌道でしか攻撃がよめないため、康生は一瞬混乱してしまう。

「あぁ、そうだったな。この姿だと見えないんだった」

 するとそんな康生の態度を見てか、声の主はそっと透明化を解除した。

「お、お前はっ……!」

 そしてその姿を見た康生は驚愕した。

「久しぶりだな康生!一度お前に倒された恨み晴らしにきたぞっ!」

 そう言って男は醜悪な笑みを浮かべながら再び剣を振り下ろすのだった。

「どうしてっ、お前がっ!」

 攻撃を避けながらも康生は思い出す。


 その男は前回、地下都市を攻めてきた隊長の中の一人。

 相当な剣の腕を持つ隊長だった。


「俺だけではない!あの時お前にやられた者全員ここにいるぞっ!」

 剣の男がそう言うと周囲にいた隊長達は一斉に透明化を解除させる。

 その瞬間、銃弾が降り注ぐ。

「そんなものっ!」

 今の康生ならば銃弾を避けることなど容易い。

 しかし、

「俺らを忘れてもらっちゃ困るぜっ!」

 康生が避けようとした先に鎖が飛んでくる。

「ちっ!」

 しかし康生は咄嗟に体を曲げてさらにそれを避ける。

「俺達もいるのを忘れるなよっ!」

 だが避けた先では槍を持った男と、両手に斧を担ぐ男が待ちかまえている。

「全員いるのかっ!」

 あの時のことを思い出しながらも康生はすぐに意識を切り替え、反撃の体勢をとるのだった。

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