第444話 包囲

「はぁっ!!」

 隊長の一人が両手の斧を振り回す。

 その瞬間、見えない刃が康生に降り注ぐ。

「はっ!」

 そして同時に槍の男が突きを放つと、火の玉の弾丸が降り注ぐ。

 刃と炎の弾丸が降り注ぐ中康生が必死に回避をする。

「さぁ、あの時の復習劇といこうかっ!」

 そして剣の男がさらに光速の刃を加えてくる。

「くそっ!」

 想像以上に鬱陶しい攻撃に康生は思わず悪態をつく。

 回避できないこともないが、隊長達は皆肉体が強化されており、さらに魔法も加わり攻撃が激しくなる。

 そしてさらに鬱陶しくさせるのは遠方からの攻撃だった。

 鞭、そして弾丸が絶え間なく降り注ぐ。

 この隊長達は元から連携がすごく、康生は苦戦をしていた。

 それが隊長達自身の力さえも強化されてしまい、さらに厄介になってしまった。

「ほらほらっ!康生っ!避けてばかりではつまらないぞっ!」

 三人プラス、遠方から二人の猛攻撃を康生はひたすら回避を続ける。

(……これはもう解放の力を使うしかないな。上代琉生に温存するよう言われていたが、仕方ない)

 解放の力なしでは勝てないと判断した康生は一瞬の隙を見て解放の力を発動させる。

「『解放』っ!」

 その瞬間、康生の姿が一瞬のうちに消えてしまう。

(まずは遠方の邪魔な奴らからっ!)

 猛攻撃から逃げだし、瞬時に遠方の敵のそばへと移動する。

「くらえっ!」

 拳を振り上げて、まずは銃の男を攻撃する。

 だが、

「甘いなっ」

 銃の男はにやりと笑みを浮かべた。

「なっ!?」

 すると瞬時に移動した康生の攻撃を銃の男は回避する。

 かと思えば小さなピストルを取り出し、間近にいる康生に向かって銃を連発する。

「ちっ!」

 咄嗟のことで油断していたが『解放』の力のおかげで、なんとか回避をすることができた。

「それだっ!俺はお前のその力を待ってたんだっ!!」

 攻撃を避けられたことに驚いているところに、さらに康生へと向かって追撃が迫る。

 先ほどまで康生がいた位置にも関わらず、剣の男達が康生の元へと移動していた。

「こいつらっ……!」

 見ると隊長達の鎧は淡い光を纏っていた。

「武装解除かっ!?」

 その鎧を見て、瞬時に武装解除が頭をよぎる。

 だが康生の知っている武装解除と、今の隊長達の力は全くの別物だった。

「まさか……魔法っ!?」

「あぁそうだっ!流石だなっ!」

 康生が答えにたどりついた時には、すでに先ほどのように隊長達に包囲されていた。

 そしてさらに追い打ちをかけるように、今までより数倍も速い猛攻撃が康生を待ち受けるのだった。

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