第438話 玉
「うっ!」
吹き飛ばされた時雨さんは、そのままあらがえずに飛んでいく。
(くそっ、やっぱり魔道具の威力は大きいか)
どうやら時雨さんは康生から渡されていた魔道具を使ったようだ。
「それも武装解除の力かっ!?」
ものすごいスピードで飛んでいった時雨さんを見て隊長達は一気に動揺する。
しかし時雨さんがダメージを負っているのを見て、すぐに動揺が収まる。
「どうやらその力は諸刃の剣のようだな」
「安心しろ、この力を使わずともお前達を倒してやる」
「はっ、やれるものならやってみろっ!」
魔道具によって回避することができた時雨さんはわずかに安心しつつもすぐに体勢を整える。
(康生はこのスピードによく耐えられるな……)
そして同時に康生のすごさも感じる。
「時雨、大丈夫かっ!私もそっちを手伝おうか?」
すると苦戦している時雨さんを見てリナさんが声をかける。
「いやっ、私は大丈夫だ!」
リナさんの方が隊長の数も多く、また様々な魔法を使われているためいっぱいいっぱいのようだった。
だからこそ時雨さんは少しでもリナさんの負担を減らすために一人でやらなければいけないことを決心する。
「我々もすぐにあっちに加勢しに行くぞ!」
すると隊長達も向こうの状況に気づいたのか、すぐに加勢に行こうとする。
「そんなことさせないっ」
だからこそ時雨さんはすぐに隊長達に向かって突撃する。
「はっ!この人数相手に勝てると思っているのか!」
突撃してくる時雨さんに向かって隊長達はすぐに反撃する。
まず一人が魔法で水を出現し、時雨さんの視界を遮ろうとする。
「そんなものっ!」
だが時雨さんはすぐに回避する。
「甘いっ!」
すると時雨さんが避ける位置をあらかじめ予測していたかのように隊長達が一斉に飛びかかる。
「はっ!」
だが時雨さんはすぐに武器を構えて迎撃の体勢をとる。
そして同時に、
「武装解除っ!」
武装解除も発動させる。
魔法も同時に放ちながらの攻撃に対して時雨さんはスピードをあげて対処しようとする。
「「「武装解除っ!」」」
「なっ!?」
しかし時雨さんが迎撃しようとした瞬間、隊長達もまた武装解除を発動させた。
「くそっ!」
速度では時雨さんが勝っているが、それでも敵の数が多いせいか防戦一方になってしまう。
さらには全ての攻撃を捌くことができず、ところどころ攻撃を食らってしまう。
「これで終わりだっ!」
隊長達の猛攻撃を防いでいた時雨さんの元に一つの声が響く。
視線をずらすと、そこには隊長達に隠れて一人の男が大きな火の玉を完成させていた。
そしてそれは時雨さんへと向かってまっすぐ放たれたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます