第431話 構築
「さて、奈々枝をどうしようか……」
妨害電波が解けたことにより、連絡が取れない隊員達とは全て連絡をとることができた。
別途新たな指示を出した上代琉生はすぐに奈々枝のメッセージを見て悩む。
――私は調べることがあるからしばらく抜けるね
奈々枝から来ていたメッセージはこの一つだけだった。
それ以外は何もなく、また新たにメッセージを送ったが返事は一つもなかった。
相変わらずの妹の破天荒さに呆れながらも上代琉生はすぐに思考を切り替え行動を開始する。
(まぁ、あいつのことだ。この前呟いたことを気にしているんだろう)
少しだけ呆れた表情を浮かべながら移動を始める。
(まずは敵兵を見つけることだな。あとのことはそれからだ)
そうして上代琉生達の部隊は隠れている敵を見つけるため奔走するのだった。
「う〜ん……まだかな〜?」
康生達がいる場所からかなり離れた場所にある地点。
そこでは奈々枝が一人地上を駆けていた。
その脚力は魔道具の力など一切なしのものだ。
ザグとのかけっこでも見せたその脚力はやはり、人間とは思えないほどのものだった。
そんな奈々枝はただ地上を一直線に走り、時折辺りを注意深く見渡し何かを探しているようだった。
何を探しているのかは分からないが、その足は止まることなくただ突き進んでいた。
「もし私の考えた通りなら、結構やばいことになるからね」
そんな呟きを残して奈々枝はさらにスピードをあげるのだった。
「見つかったぞ!」
妨害電波が破壊されてからわずか十分も経たない内に隠れていた敵兵達が次々に見つかっていった。
透明という情報もあったからか、敵兵達は各地でどんどん見つかっていった。
「俺の出番はまだか?」
「いや、まだ大丈夫だ」
情報を整理するために本部へと戻ってきた上代琉生の元に康生が近づく。
どうやら康生は言われた通りに、きちんと休息をとっていたようだ。
「しかしやばいかもしれないな……」
「どうしたんだ?」
敵が見つかっているというのに上代琉生はどこか浮かない表情だった。
そんな上代琉生を見て康生は心配そうに声をかける。
「敵が見つかるのはいいが、未だに主力は見つからない。これは一体……」
「まぁ、きっとすぐに見つかるよ。敵は必ずどこかにいるわけだからね」
「そうだったらいいんだけど……」
と康生が励まそうがやはり上代琉生は何かを危惧しているようだった。
(もしや本当にあの予想が的中するかもしれないな……)
と上代琉生は頭を悩ませながら新たな作戦を構築させるのだった。
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