第346話 猛攻撃
「そんなのありかよっ……」
シロを守るように出来た青い球体を前に康生は何も出来ずにいた。
攻撃の手段はないかと、ペンを飛ばしたり魔法を放ったりなどいくからしてみたが、青い球体に触れれば全てが一瞬のうちに塵となっていた。
(このまま長引くと魔力も風の力もなくなるぞ……)
現在空中に浮いている康生だが、それだけでも現状エネルギーを消費し続けている。
だからこそ一旦様子をみるために下に降りるか、そう考えていた。
「っ!」
だがその瞬間、康生に隙が現れたと考えたのか青い球体が一気に変形を始める。
その間、球体から出てきた複数の小さな青い玉が康生を襲う。
「くそっ!何か有効な手段はないかっ!」
青い玉に翻弄されながらも、康生は何かいいアイデアがないかと頭を巡らせる。
触れればアウトな青い炎。それはシロとの戦いでよく思い知っている。
だからこそ、それに触れることなく倒さなければならないのだが、敵の力が膨大過ぎて簡単には倒せなさそうだ。
そうして康生が考えている間にも、目の前の青い物体を変形を遂げる。
中央にいたシロは青い炎を全身で包み込むように装備していた。
それはまるで鎧だった。
「ちっ」
全身を青い炎でガードされた康生は、これで手出しができくなくなってしまった。
だからこそザグやメルンの助けを借りるべく地上に降りようとするが、
「殺すっ!」
シロが叫んだ瞬間、めがけて青い炎が放たれる。
おおよそ今まで使っていた青い炎とは威力が格段に違い、高濃度、高威力の攻撃に康生は慌てて回避する。
だが、
「殺すっ!殺すっ!殺すっ!」
康生がいくら回避しても、攻撃は絶えず降り注がれた。
一体どれだけの魔力量があれば、こんな猛攻撃が出来るのか康生は分かったものじゃないが、とにかく今は回避し続けることしか出来なかった。
(このままじゃやられるぞっ……!)
ひたすら回避を続けながら康生は思考する。
(だが『解放』の力を使えど、あの鎧がある以上こちらからは何も手出しが出来ない。それに無駄に魔力を使ってしまえばそれこそ負けてしまう。何か……あれに対抗できる手段はっ……)
一発当たれば即死するだろう攻撃を幾度となく回避しながら康生はただ思考を重ねる。
回避する際にも、状況を打破すべく様々な魔法や魔道具で対抗しようにも全て歯が立たなかった。
(くそっ!何かっ!何かないのかっ!)
「だから俺を無視するじゃねぇよっ!!」
その瞬間、ザグの大きな叫び声とともにシロの猛攻撃が止まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます