第345話 巨大
「康生さんっ!ザグさんっ!上ですっ!」
康生がザグの心配をしていると、メルンが叫んだ。
「くそっ!」
「ぐっ!」
咄嗟に2人はその場から移動する。
その瞬間、先ほどまで2人いた場所には丸いクレーターが出来ていた。
「くそっ!これだから魔力暴走は加減をしらねえんだっ!」
一つ一つの技の威力に、ザグは苦し紛れの舌打ちをする。
しかも先ほどの攻撃が、今度は立て続けてに降ってきた。
「ちなみにザグは空中への攻撃は出来るかっ?」
康生は必死に回避しながらザグに声をかける。
「他よりも高くジャンプが出来るだけだ。だから空中の奴は正直言って専門外だ」
ザクもまた必死に回避しながら答える。
「分かった。じゃあ俺がたたき落としてくるっ!」
ザグの返答を聞いた康生は瞬時に魔道具を機動させる。
「はっ!」
そして次の瞬間、康生は空中へと体を移動させる。
「ちっ、あいつ空まで飛べたのかよっ」
康生が空中へあがっていくのを見ながらザグは小さく舌打ちをした。
「あまり長くはしたくないけどなっ」
そう言うと康生はひたすらに軌道を変えてシロへと迫る。
攻撃は空から降ってきているので、当然地上にいるより空へ上がれば上がるほど攻撃を避ける回数が増えていく。
そして当然シロも康生に対して警戒しているので、自然に攻撃が康生へと集中するようになる。
「あとは頼んだぞメルンっ!」
「は、はいっ!」
康生は最後にその台詞を残した後、一気に加速してシロとの距離をつめた。
「さぁ、早く地上に降りてもらうぞ」
シロと空中で対面した康生はゆっくりと移動しながら攻撃の隙を伺う。
またシロも康生の攻撃を警戒してか、先手を打とうとはせずに攻撃のチャンスを見計らっているようだった。
「じゃあこっちからいかせてもらうぞっ!」
康生はあまり長い時間をかけたくない。
だからこそ早くシロを叩いて、地上へと戻さねばならない。
まず康生は懐からペンを取り出しシロに向かって針を飛ばす。
メルンの協力により魔道具となったペンの威力は強力なものとなっていた。
しかしそれでもシロは周囲の玉を移動させて攻撃を防ぐ。
だがその瞬間、
「っ!」
シロの周囲一帯に白い煙が蔓延した。
康生が新たに改良したペンには麻痺などの効果もあるが、新しく煙玉の効果を付与したのだ。
「よしっ、今だっ!」
そうしてシロの視界を奪った康生は『解放』の力を使用して一気にケリをつけようと特攻する。
しかし、
「くっ!」
完全な死角からの康生の攻撃がシロに防がれることになる。
いや、正確にいえば死角など関係なしに康生の攻撃を防いだのだ。
それはどういうことかというと、
「そんなのありかよっ……」
攻撃を中断したことにより、徐々に煙が晴れていきやがてシロを包んだ巨大な青い球体が現れたのだった。
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