第335話 遠距離
「ひゃっはっはっはっ!やっぱりお前はいいぜエクス!俺の攻撃をこんなにも耐えた奴は今までお前しかいねえよっ!」
「そうかっ」
「はっはっはっ!やっぱりお前は最高だぁ!」
そんな軽口を挟みながらも、リングの中で激しい攻防が繰り広げられていた。
ザグがひたすらに攻撃を繰り出し、康生はひたすらにその攻撃に対処する。
康生も幾度となく攻撃をしようとしたが、ザグの攻撃がそれをさせてはくれなかった。
つまり攻撃が激しすぎて、防ぐことしか出来ずにいるのだ。
(くそっ、何か隙はないかっ……!)
康生は必死に攻撃を防ぎながらも、敵の隙を探す。
しかしながらそう思って幾度となく、攻撃を観察していたがザグは全くその様子を見せてはくれなかった。
ただひたすらに、息をするように攻撃を繰り出してくる。
まるで嵐とでも戦っているような錯覚に陥った。
「だがまだまだぁ!エクス!お前はまだ力を隠してるだろぉ!?」
ひたすら攻撃を繰り出しながらザグは叫ぶ。
「当たり前だろっ!」
康生はひたすらに攻撃を防ぎながらも言葉を返す。
ザグの攻撃は一撃一撃重い攻撃なので、こうして会話をしている最中ですら気を抜けずにいた。
「なるほどなぁ。まだこの力だけじゃその力を出すには早いってわけかっ!」
「別にそういうことじゃっ……」
勝手に勘違いしたザグに康生は言葉を濁すが、どうやらその態度を見てザグはその勘違いに確信をもってしまう。
康生自身も本来であれば『解放』の力を使えば勝てない相手ではないのだ。
そうじゃなくとも、シロとの戦いで使った魔法を操る力があれば大抵の相手はどうにかなると思っていた。
しかしザグは先ほどから風の魔法で身体強化をするだけで、攻撃的な魔法は一切使ってこなかった。
そういう戦い方なのは今までの試合で見ていたが、いざこうして対戦すると敵の強大さがいやなるほど分かる。
「へっ!じゃあ仕方がねぇ!俺の本気を出させてもらうぜっ!」
そういうとザグは一度重い攻撃を加えてくる。
「ぐっ……!」
康生はその攻撃を咄嗟に防ぐ。
するとザグはその隙に康生から距離をとる。
今まで距離を詰めることしかしなかったザグの行動に違和感を感じながらも、康生は最大限警戒しながらも次の手をうつべく準備する。
「この力を使うのは久々だなぁ!お前も本気を出さないと死ぬぜぇ?」
そう言うとザグは心を落ち着かせるように目を閉じる。
(……なんだ?)
この行動に疑問を抱きながらも康生は、隙を見つけたと思い、遠距離から魔法を飛ばして攻撃する。
しかしその瞬間、
「なっ!?」
ザグの姿が一瞬にして消えたのだった。
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