第285話 要求
「魔道具?」
「はい。魔道具ですよ?もしかして康生さん魔道具はご存じでない感じです?」
「いや、初めて聞いたよ」
エルもリナさんも、そんな物の話をしていなかったので、康生は魔道具という存在を全く知らずにいた。
「そうですねー。簡単に言ってしまえば、魔道具は魔法が使える道具って意味です」
言葉通りの意味で、康生は思わず苦笑してしまう。
「例えばこれなんかも魔道具ですね」
そう言ってメルンが取り出したのは一つの小さな結晶だった。
リリスが録音する為に使っていたものや、リリスの国に転移する時に使ったものと似たようなものだった。
「これは魔力を込めると光を発する魔道具です。これが一番一般的な魔道具ですね」
メルンが説明しながら結晶にさわると、結晶が僅かながらに光を発した。
「本来魔法は、その人に適性がない魔法は使えないんですけど、魔道具を使えば魔力を込めるだけで色んな魔法を使えることが出来るんですよ」
「へぇ〜」
新しい魔道具という道具に康生は興味津々の様子だった。
すでに頭の中では、魔道具を利用した新しい装備が頭の中で思い描かれていた。
「あれ……。でもということは俺の装備も……」
とそこまで考えた所で、康生は自身が着ている装備をみる。
「もしかしてこれも魔道具なのかな?一応風の魔法を使うと威力が増大するようになっているんだけど」
康生は自らの装備を説明しながらメルンに尋ねる。
「ほう、増強系の魔道具ですか。確かにそれも魔道具だと言われるものですね。でもそんなもの一体どこで手に入れたんです?」
「いや。自分で作っただけだよ」
「自分で作ったんですか!?魔道具を!?一人の力で!?」
自身が作ったことを明かすと、メルンは驚愕の表情で叫んだ。
そこまで驚くことでも、と康生は思ったが、メルンはすでに康生の装備を全身くまなく調べていた。
「なるほど……。確かにそう言われてみれば所々は荒い部分がありますね……」
「えっ、もしかしてこれからさらに改善することが出来る?」
荒い、という言葉を聞いて、康生はすぐにこれ以上の能力アップの可能性を期待する。
「恐らく出来ると思いますよ。それに見た所、私の知らない技術。恐らく人の技術も混じっているようなのでなんとも言えませんが……」
人の技術の部分とは、恐らく風の力を使ったものだろう。
そもそも康生はこの風の力を主体とした物を開発していたのだ。
魔法を込める物は、今着ている服にしかしておらず、これも機械武装を参考にしたものだ。
「――もしよろしければ、これから魔道具について勉強してみませんか?」
とここでメルンから願ってもない言葉が返ってきた。
「その代わりと言ってはなんですが、私にも人の技術を教えてもらえればと思いまして……」
そして要求として、康生が知っている人の技術を要求してくるメルン。
しかしそれも当然のことだと康生は思い、すぐに返事を返した。
「勿論だよ!」
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