第235話 特殊部隊
「失礼しま〜す……って、もしかして邪魔しちゃったかな?」
病室の扉が開かれると同時に上代琉生が入ってくる。
しかし中で、康生とエルが食事をしているのを見るとすぐさま帰ろうとする。
「ちょ、ちょっと待って!全然邪魔じゃないって!」
すぐに出ようとする上代琉生を見て康生は咄嗟に止める。
ここで止めなければ変な誤解を与えてしまうかもしれないかと思ったからだ。
「まぁ、そういうんならいいんですけど」
といいながらもにやにやと二人を見てくるので、康生は思わず視線をそらした。
現在、エルと康生は二人で朝食をとっていたようで、体が思うように動かせない康生のためにエルが代わりに食べさせてあげていたのだ。
「それで一体どうしたの?」
上代琉生が現れるということは、何か用がある時だと、エルはすぐに気づき一度食器置いて訪ねる。
「別に食事を続けててもいいんですよ?なんなら俺食べ終わるまで待ちますし」
「い、いいから早く用件を言えっ!」
上代琉生にちゃかされるように言われ、いよいよ康生が恥ずかしさで声を荒げる。
「分かりました、分かりました」
これ以上からかうと本当に追い出されかねないと思った上代琉生は早速用件を伝える。
「本来なら時雨さんとリナさんに確認するべきなんだけど、今二人は寝てるから代わりに二人に相談しにきました」
「相談?」
急にかしこまるように言われ、エルは思わず聞き返す。
「はい。少しだけ異世界人と人間の兵士の中から数人貰えないかと思いまして」
「もらう?一体何をする気なんだ?」
上代琉生の相談を聞き、康生は大事な用件だと感じすぐに起きあがろうとする。
「あっ、駄目だよ康生は寝てないと」
だが結局すぐにエルに止められた。
「あっ、別に寝たままでいいですよ。英雄様は先の戦いで頑張ったんですから」
そして上代琉生にも気遣うように言われ、康生は少し表情を曇らせた。
「それでどういうことかといいますと、特殊部隊を作りたいんですよね」
「特殊部隊?」
「そうです。今回の戦いでは俺が裏が色々と動きましたが、俺一人では動ける範囲が決まっています。そこで、そういう部隊を一つでも作っておけば、もっとスムーズに色んなことが出来ると思ったから、何人か貰えないかと」
いわば工作部隊のようなものだと、説明を聞いて康生は思った。
確かに、今回の戦いで上代琉生は裏で沢山動いてくれた。
元都長の動きなどは、前々から調べていたからこそ出来たことだ。
それでも上代琉生一人の体では限界がある。
だから少数の部隊を編成しようということらしい。
「幸いにも俺は軍の方で工作活動についての訓練は受けてます。だから多少なら教えられることもあるんで――」
「ちょっと待ってもらおう」
突然、上代琉生が話していると病室の扉が開かれたのだった。
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