第209話 咄嗟の動き
「なっ!?」
時雨さんへ攻撃を繰りだそうとしていた爪の男の頭上には、いつの間にか翼の女がいた。
そしてそれを見た時雨さんはさらに驚きの表情を浮かべる。
なぜならば、翼の女は確実に爪の男の頭上。その距離わずか数センチの位置で、剣を突き刺そうとしていた。
あれほどまでの距離に近づいて、風の刃のダメージを受けていない翼の女に驚いたのだろう。
そしてその攻撃は完全に爪の男の隙をついており、その剣はまっすぐと爪の男の頭上に降ろされる。
「く、くそがっー!」
瞬時に頭を避けた爪の男だったが、それでも剣先は頭の下にある鎧へと深々と突き刺さる。
「今だ時雨っ!今ならこいつの周りのガードがなくなって いるはずだっ!」
鎧を貫通することが出来なかった翼の女だったが、そこからさらに攻撃を繰りだそうと地上に、時雨さんの向かい側に着地し、すぐさま攻撃を繰り出す。
攻撃が入り、よろけている爪の男はぎりぎりの所で翼の女の攻撃を受け止める。
しかしそれが時雨さんにとっての攻撃するきっかけとなった。
「はっ!」
翼の女の攻撃が入っているということは、先ほど聞いた通り、爪の男の周りに風の刃は存在しないということ。
ならば、攻撃をためらっている場合ではない。
と時雨さんは一気に畳みかける。
「な、なめるなよっ!」
しかし寸前の所で体勢を取り戻した爪の男はすぐさま翼の女の攻撃をはじき返し、時雨さんの攻撃を対処しようとする。
「武装解除っ!」
しかしその瞬間、武装解除をした時雨さんが、瞬時に敵の動きを見切る。
咄嗟の動きの対処戸惑いを見せている爪の男は、そんな時雨さんの攻撃をもろに鎧に受けてしまう。
「がはっ!」
攻撃を受けた爪の男は、耐えきれずに地面に足をつけてしまう。
「まだだっ!」
そして翼の女は畳みかけるように攻撃を繰りだそうとする。
「そ、それは……こちらの台詞だっ!」
しかし、爪の男は寸前の所で立ち上がり、その俊敏な動きで翼の女の攻撃をいなす。
「ぐっ!」
さらには攻撃してきた衝撃を生かして、翼の女を吹き飛ばしてしまう。
そして狙ったものなのか、翼の女が吹き飛ぶ先には時雨さんが立っていた。
「なっ!」
咄嗟のことに戸惑いながらも、時雨さんはすぐに翼の女を抱き抱える。
「死ねっ!」
そしてその隙を爪の男は見逃すことなく、攻撃を向ける。
「くそっ!」
翼の女を抱えた状態の時雨さんは、避けることすら満足にかなわずにただ必死にあがこうとするが、そんな姿を爪の男は確実に捉える。
まさに絶体絶命かと思われたその瞬間。
「がっ…………」
爪の男は時雨さんに攻撃をする寸前で倒れ込んでしまった。
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