第115話 朝食
あれから、康生達が部屋に案内されてからすぐに夜食が出された。
やはり食事は質素なもので、芋と少量の米だけだった。
本当は鞄の中に夜の分の食事が入っていたが、それをここで出してしまったら向こうにどう思われるか分からないので、時雨さんの案で出された食事だけしか食べなかった。
その後、何も呼び出されたりしなかったので康生達は支給された布団を使い眠りに落ちた。
康生は一応はまだ味方となったわけではないので警戒していたが、やがて睡魔に負けてしまいそのまま眠りに落ちた。
そして朝日が昇る頃に康生達は起こされる。
「着いてこい」
すると康生達は部屋から出される。
どうなるかと思いながら言われた通りついていく。
すると康生達はそのまま地下都市の中へと案内される。
一体どういうことかも分からずに案内された先は地下都市の中心広場だった。
「さぁ入れ」
中央の建物の中に入るよう促された康生達はゆっくりと扉を開ける。
「失礼します」
時雨さんが先頭になって中へと足を踏み入れる。
するとそこには昨日出会った都長が椅子に腰掛けていた。
「よく来たな。適当な所に座ってくれ」
そう言われ都長の目の前にあるソファに座るように指示される。
時雨さんは緊張した様子で、エルと康生は訳が分からないまま指示通りにソファに腰掛ける。
「それで……どういったご用で?」
座ると同時に時雨さんが訪ねる。
「まぁそう焦るな時雨」
そう言うと同時に都長は指をならす。
すると先ほど康生達が入って来た扉から料理が運ばれてくる。
料理は昨日食べたご飯と芋だったが、量が昨日より少しだけ多くなっていた。
「まだ君たちは食事を食べてないだろ?まぁ、まずは気軽に食事を食べながら雑談でもしようじゃないか?」
そうして康生達は都長と共に朝食を食べることになった。
都長の言っていた通り、いきなり用件を話すのではなく食事中はとにかく雑談が続いた。
例えば、時雨さんの調子や地下都市の様子、さらには康生の強さやエルが使える魔法など少しだけ深い質問等もあったが、そこは時雨さんが上手い具合に誤魔化した。
誤魔化された都長はというと「やはりそう簡単には教えてくれないか」と教えてもらえない事が承知だったのように笑いながら言うのだった。
それ以降は今度は逆にこちらの地下都市の事情を都長が話し始めた。
昔までは犯罪がちらほら起こっていたなど、最近の周辺の地上での様子など、現在の生活事情など軽く話すようにしゃべった。
やがて目の前の料理がなくなり、使用人が料理が片づける。
そうして完全に料理が片づけられ使用人が外に出たタイミングを見計らって都長は口を開く。
「さて、それじゃあ話し合いをしようか」
都長は目を細目、微笑みながら言った。
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