第104話 休憩

「そろそろ夜の準備をしようか」

 地下都市を出てから日が傾き始めた頃、時雨さんが立ち止まり提案する。

「そろそろ日も落ちる頃合いだし確かにここで休憩場所を見つめるのは先決だろう」

 一人の隊長がすぐに肯定する。

「俺も賛成です」

 康生が言うと同時にエルも頷き、この辺りで休憩地点を見つめることにした。

 やはり隊長達は軍人という事もあり、こういう時には慣れているようで、速やかに皆が休める場所を確保できた。

「――ふぅ、疲れた」

 休憩地点を作ると真っ先にエルがその場に座り込み足を思いっきりのばす。

 確かにあれから小さい休憩を何度かはさんだが、それでも結構長い距離を歩いてきた。

 康生や時雨さん達隊長は日頃から運動をしているので慣れているが、エルはそこまで活発に体を動かす方ではないので相当疲れが溜まったのだろう。

 そんなエルを心配して康生はそっと水を差し上げる。

「お疲れエル」

「あっ、ありがとう康生」

 エルは水を受け取ると勢いよく飲み始める。

 喉も結構渇いていたらしく、ペットボトルの水が一気に半分も減った。

「しっかり休んでね」

 そんなエルに康生は優しく声をかける。

 しかしそんな康生をを見て、時雨さんが横から入ってくる。

「いや、エルはもう少し運動をした方がいい。じゃないともし何かあった時に動けなくなるぞ?」

「うぅ……。それは分かってるけど……」

 どうやら時雨さんはエルの体力を心配していたようだ。

 エルもエルで自覚はあるらしく、時雨さんの言葉に顔を沈める。

「ま、まぁ。とりあえず今はゆっくり休みましょ?」

 そんな二人をあやすように康生は間に入る。

「まぁそうだな」

「うん」

 そうして時雨さん、エルはそれぞれ楽な格好を休息をとる。

「隊長さん達もお疲れ様です」

 二人が休んだのを確認した康生は次に隊長達の元へと水を持って向かった。

「あぁ、ありがとう」

「すまないな」

「これはどうも」

 三人の隊長達はそれぞれ水を受け取り、一気に体にそそぎ込む。

「それにしても康生さんはすごいですな」

「そうです。あれだけ歩いたのに全く疲れた様子を見せていない」

「やはり流石と言うべきですね」

 それぞれ水を飲み干した隊長達は康生の体力を賞賛する。

「い、いや、そうでもないですよ。これでも結構疲れてますから」

 褒められることになれていないのか、康生は照れるようにする。

「とりあえず一旦休憩してから食事の準備をしましょう」

「了解した」

 そうして康生は逃げるように隊長達のそばを離れた。

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