第3日目 兄ちゃんとゲームセンター
”ふわぁぁぁんーよく寝たなぁ。さて、じゃあゲーセン行くか!”
”うん!!!”
私と兄ちゃんは朝早く起きて、ゲームセンターの開店時間に間に合うように家を出た。
家からゲームセンターまでは駅3個分の距離、近いようで遠い距離だからあまり行けてなかったのだ。
だけど今日は兄ちゃんと一緒。
今の兄ちゃんは私をどこへだって連れてってくれるんだ。
”ゲームセンターなんて久々!楽しみ〜”
”空美は何がしたい?UFOキャッチャー?メダル? 今日はなんだって出来るぞ!!!”
”えーっとね、まずUFOキャッチャーはやりたい!あと、音楽ゲームもやりたいかな。なんかピアノ?を弾く感じの音楽ゲームがあるってネットに載ってたの!それやりたい!!!”
”そっか、そっか。いいぞ。なんでもやろう!”
そう言って兄ちゃんは私の頭を撫でてくれた。
兄ちゃんに頭を撫でられるのは嫌いじゃない。だけど、子供扱いされてるようで恥ずかしい。
でも兄ちゃんの手の温もりが気持ちいいから拒絶せずされるがまま撫でられた。
「次は黒里駅〜次は黒里駅〜」
”おっ、着いたか。じゃあ降りよう”
兄ちゃんは私の手を引き、電車から降りた。
手を繋ぐなんて何年ぶりだろう。
恥ずかしい、恥ずかしい。
周りの目が全て私たちを見ているようだ。
”っ…兄ちゃん!恥ずかしいよ!手、離して!!!”
”ん?あぁ悪い。ごめんな。人が沢山いたからはぐれないようにって思ったんだけど恥ずかしかったよな。ごめんな。”
”うん…。別に怒ってないからいいよ。”
”ありがとうな。さてゲーセンは…あっあっちだ。さあ行こう。”
”うん!”
《きゃー取れた!》《くっそ、あとちょっとだったのにな》《また遊ぼうね!》
”うわぁー!!!すっごい!!!人が多い!いっぱいゲームがある!”
”えっねぇ兄ちゃん、これどれでもやっていいってほんと?どれでもいいの?”
”あぁいいぞ。なんでも”
”やったー!!”
まず私はやりたかったUFOキャッチャーのコーナーに向かった。
UFOキャッチャーには沢山のお菓子やぬいぐるみが設置してあった。
そこに私の好きなアニメ [タムちゃん農園]のタムタムのぬいぐるみがあった。
”兄ちゃんっ兄ちゃん!タムタムがいる!タムタムがいたよ!あれ欲しい!”
”ん?あぁあれか、空美が好きなアニメだよな?いいぞあれぐらいなら300円ぐらいで取れる。
”ほんと?やったー!!”
兄ちゃんは宣言通り300円でタムタムを取ってくれた。
”ありがとう!兄ちゃん。本当に嬉しい!ほんっとありがとう!”
”よかった。空美が笑顔になってくれて。さて、他に欲しいものはあるか?取ってやるぞ?”
”んとねじゃあチョコが欲しい!ほら、あそこにあるでっかいチョコ!”
”あれか…んーちょっと取るの時間かかりそうだけどいいか?”
”うん!待ってる。頑張って、兄ちゃん!”
”よしっ任せた!絶対取ってやるよ”
《ガタンッ》
”ふーやっと取れた。ほら、取れたぞ?”
”うわぁー!!!すっごい!!!兄ちゃんすごい!!!取れるなんて思ってなかった!ありがとう兄ちゃん!”
”ん、どういたしまして。”
”ってうわっ時間結構経ったな。今から帰りのこと考えるともうそろそろゲーセン出てお昼食べなきゃな。どうする?次やるので最後になりそうだけどメダルゲームとかやるか?それとも何か取るか?”
”んーメダルはいいかな。音楽ゲームも並んでるし…”
私のやりたかった音楽ゲームは思ってたより人気があり、整理券が配布されていた。
整理券を取ろうと思えばすぐにでも取れるのだが今から取ったのでは帰りの電車に間に合わない。何より兄ちゃんと過ごす時間が少なってしまうかもしれない。
”今から整理券取れば音楽ゲーム出来るぞ?やるか?”
優しい兄ちゃんはそう言ってくれた。
だけど兄ちゃんにもっと迷惑をかける訳にいかない。
それに今、音楽ゲームをやらなかったらと言って死ぬ訳でも無い。
またいつか来た時にやればいいのだ。
”んーそれは、また今度来た時やる!それよりあのくまさんのキーホルダーが欲しいな。”
”そっか分かった。んであれだな。よしっ1回で取ってみせるよ”
《ボトッ》
”えっ?うわぁっ!すっごい!!!2つ取れてる!しかも欲しかったピンクと緑のくまさんだ!!!やった!!!ありがとう兄ちゃん!”
”あぁ”
”んーじゃあはいっ。こっちのくまさんは兄ちゃんのね。”
そう言って私は緑のくまのキーホルダーを兄ちゃんに渡した。
”えっ?空美?どうした?”
”これ兄ちゃんにあげる。今日一緒にいてくれたお礼。ってこれ取ってくれたの兄ちゃんだし、お金も兄ちゃんのだからあげるっておかしいんだけどねw だけど兄ちゃんとのおそろいが欲しいから貰って?兄ちゃん”
”ありがとう空美、大切に使うよ。”
”うんっ!大事に使ってね!”
沢山の荷物を持って電車に乗る康太のカバンには空美があげた緑のクマがぶら下がっていた。
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