弱肉強食
突如、人間より大きくて強い生物が現れて、地球上の人間をランダムに捕まえては襲って食べる。人間は抵抗はするものの、自分より大きな力と弱肉強食という自然界のシステムには逆えず、頭を地面に押さえつけられ、動けなくされ、パクッと丸呑みされる。人間がそこにいた事実などなかったかのように、跡形もなく一瞬にして姿を消す。周りの人間はいなくなった人間の悲劇を察する。
こんな事態も、ないとは言いきれない。かもしれない。
そんな物語を思いついたのは、今日私が動物園に行った時に見たフクロウと小鳥のシアトリカルな捕食場面を見てしまったからだ。
羽を広げると体長150cmにも及ぶ大きなフクロウの前に、スズメのような小鳥が放される。フクロウは小鳥を襲う。小鳥は抵抗するものの、自分より大きな力と弱肉強食という、ここでは動物園のシステムには逆えず、頭を地面に押さえつけられ、動けなくされ、パクッと丸呑みされる。小鳥がそこにいた事実などなかったかのように、跡形もなく一瞬にして姿を消す。そんな様子を、たくさんの人間の見物にされる。
フクロウは何も悪くない。与えられた小鳥を自分が生きるための糧にしただけで、もし両者が野生にいたとしても同じことが起きていたかもしれない。でも、小さな小鳥が大きな鳥に力なく捕食されていくのには、同情してしまう。
ある意味、「この小鳥はこのフクロウが食べる」と決めたのも人間であり、それにはフクロウも小鳥も反発できない。今のところ人間は彼らより強い立場だから、彼らはそのルールに従わざるを得ない。けれど、人間より強い生物が現れたらその時は我々人間が従わざるを得ない。それは覚悟しておかなければいけないなと思った。
シマウマが草を食べていたって、カエルがハエを食べていたって、あー食べたんだーくらいにしか思わないくせに、女の子の拳くらいの小さくて愛らしい小鳥が餌食になっている場面は見るに忍びないのだ。植物も虫も小鳥も同じ生物なのに、かわいいってだけで味方してしまうのも人間のエゴだなぁ。
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