謎の女

私は謎の女に憧れがある。裏表のある生活とも言えるかもしれない。


例えば、というか具体的には、

学校では大人しく本を読んでいて、目立たなく、異性とはあまりしゃべらなくて、行事もそんなに張り切らない、メイクとか派手なヘアアレンジとか一切しない優等生って感じ。

ところが放課後、大きな駅の近くでギャル系クラスメイトのひとりは私とすれ違って二度見する。

私は色っぽいメイクをしている。ブランドの化粧品を使って、キレイになっている。髪はゆるく巻いている。髪色までは変えられないけれど、整えたばかりの髪と顔は夕方とは思えない輝きを放っている。いちばんの違和感の正体は私服であること。雪が降り始めたこの時期、コートはそのまま、中はグレーのオフショルニットに弾けたピンクのスカート。マネキンのをマネしたからまぁセンスは良い。銀色のイヤリングとネックレス。隣には少し背の高い男の子。こうゆう光景を見たらすぐ付き合ってるだのゴシップ立てたがるのかもしれないけど、別に彼氏でもデートでもない。男友達と歩いていたっていいじゃない。

こんな私を見てしまった誰かは、それが何か人違いだったことにしたがるかもしれない。そう思っても仕方がない。でもこれは、紛れもなく私なのである。


帰ったらお仕事が待っている。小説を書くというお仕事。創作垢の、この辺では出会えないお友達のツイキャスを見て、JK徒然草というブログもどきを更新する。ツイッターのタイムラインを眺め、リプやDMを返す。坊主の選手権に参加してみる。時にはツイッターに自撮りを載せちゃったりなんかする。寝る前にはちょこっと学校の勉強をして、明日もちゃんと小テストは満点をとる。これが私のプライベートであり、生きている上での本業になるのだ。


見違えるほどのメリハリのある一日。これが私の理想、憧れなのだ。


私のことを本当によく知っているのは、学校の友達でも家族でもない。創作物と、創作垢での人間としての私を支えてくださっている皆様なのです。


うーん、面白いな、裏表生活。まるで変身しているようで。




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