恋するかもしれない乙女
虎視眈々
私が好きになる男の子は大抵、数ヶ月後に別の女の子と付き合う。
私の目に魅力的に映ったんだから、他の女の子の目にも魅力的に映っていても妥当だろう。
そのたびに私は泣き寝入りするほかない。
他の女の子のものになってしまったのだから仕方がない。
図々しいことを言ってみる。
その彼女って、そんなに美人なわけでも好かれる要素が際立つ訳でもない気がするんだ。むしろ言葉遣いが荒かったり、周りと上手くやれない子だったりすることもある。
え、そのポジション私でも良かったんじゃない?って。正直思ってしまう。
まぁでも、意気投合してしまったのだから。
私の好きだった人がそれを受け入れ、それを愛したんだから、仕方がないよねって短い恋は自己完結する。
行き場を失った恋心は私のなかで「推し」に変換される。
推しって言葉が流行っているせいかもしれない。
付き合ったり近寄ったりできない状況だけど、見てるし応援するし大好きだよ!っていう、アイドルとやらに向けられる好意と同類項だ。
檻の外から見ているだけのような状態は、失うものがないから案外心地よい。
こんな文を綴っているとお腹が空いてくる。途中で冷静になるからか、恋を語るのって、飽きるなぁ。
いくら女子高校生でも、目的なしには「可愛くなりたい」願望を維持できない。少なくとも私は。
憧れがあるから頑張れる。
だから私は、近い未来に投資をすることにしたんだ。
例えば明日、推しの誰かが恋人に捨てられたとする。私はその知らせを聞くや否や、「推し」を「恋」に戻すことができるだろうか。
そんな日が、来るかもしれない。
いつでも準備万端にしておこう。
そもそも大好きな人の不幸を待つような真似をするなんて、その時点で彼女になる資格はないよなぁ。
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