いじめアンケート
最近の若者は「いじめ」という言葉を使いたがらないようだ。私も使わない。使いたくもない。
今日、学校でいじめアンケートがあった。
あなたは4月から今日まで、以下のようなことで嫌な思いをしたことがありますか?
・悪口を言われたりネットに書きこまれたりする
・仲間はずれにされる
・物を隠されたりいたずらされたりする
みたいなフォーマットのやつ。小学校からずっと同じ内容の紙が年に2、3回まわされるけれど、最近少ーしだけ変わった。
「『いじめられた』ことがありますか?」だったんだ。昔は。
何故なんだろう。考えたら簡単だ。
いじめなんて、する側もされる側も「いじめ」とは認識していないんだと思う。
過激ないじめドラマが溢れているせいで両者とも、「この程度はいじめじゃない」って思ってしまうんじゃないかな。
「いじめ」という言葉は重すぎて。
一般的に、
「いじめる」=悪い
「いじめられる」=弱い
じゃないか。
誰だって悪者にも弱者になりたくないし、人をそんな役にしたくない。
でも今回の改定されたいじめアンケートの、改定された部分に注目すると、
嫌な思い=いじめ
ということになる。改定の意図は分かるけれど……
それって残酷すぎやしないか。このアンケート、大多数の人は嫌な思いをしたことが『ない』に丸をつけるのだろうけど、日常生活は、世界は嫌な思いをすること日常茶飯事じゃないか。
自分が嫌だと感じたら、一瞬にして相手を訴えることができてしまうのだ。
それっておかしくないか。
恥を偲ぶとしても、悲劇のヒロイン気取りをすれば誰でも味方を集めた強者になれるのだ。それが回り回って逆襲いじめとか、いじめ冤罪になりやしないか。
必ずしも弱さを主張する者の味方について良いのか。
アンケートの最後には必ず、こんな質問がある。
「あなたはいじめはどんな理由があっても許されないことだと思いますか?」
1そう思う 2そう思わない 3よく分からない
嫌がらせをするにあたって理由がない場合なんてあるものか。
嫌がらせ行為、またはいじめが起きたなら、無条件に被害者を名乗る方に肩入れするということか。
私はこの質問を回答するにあたって毎回悩む。前者以外を選択して呼び出しを喰らうのはごめんだ。だから結果いつも1を選ぶのだけれど。
どこにだって、色々な人間がいる。人間は不完全で、醜い心が備わっているから、人間がいる限りいじめはなくならない。
人間はいじめっ子であり、いじめられっ子でもあるのだと思う。
こんな、学生から本音を引き出せないアンケートをとるくらいなら、
それにうまく対処する強さを、大人になるまでに身につけさせるべきだと思う。
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