第3話 猛攻撃は夜からです
立花 汐菜
校内一の不良に告白された。
それは現実の出来事だった。家に帰ったあともそれが信じきれず、勉強もゲームも寝ることすらも手につかない有り様であった。
しかし、何も収穫がなかったかと言えばそうではない。恐らくだが、一つだけ接点があることを思い出せたのだ。
少し前に小さい女の子と同い年くらいの女の子の三人組が、不良五人組に襲われていたのを助けたとき、あのときの女の子は立花だったかもしれない。
なぜ確信を持てないかと言えば、あのときの彼女と、校内での評判の彼女が似ても似つかない存在だったからだ。
あのときの彼女は警察を呼んだらすぐに子供たちに駆け寄って「もう大丈夫だよ」と、とても優しく抱き締めていて、美人で優しい聖母かと思えるほど、いい人だった。
しかし、学校では髪を金色に染め、ピアス穴を開けて、不良と付き合い、とかそれ以上に、もう漫画に出てくる不良もびっくりのレベルで噂されていた。
だから気が付かなかったが、彼女が立花である以外に接点なんて考えられないし、同じ金髪だったのだから、多分正解なのだろう。
そんなことしか考えられず、ボーッとしていると、
ピーンポーン
家のチャイムが鳴った。
「?」
もう暗くなり始めている七時頃だ。宅配も何かあるとか聞いていないし、何だろうかと思って扉を開けると、
「こんばんわ!」
「「こんばんわー!」」
「なっ!?」
衝撃の形で、答え合わせがされるのだった。
────────────────────
「突然でごめんね。」
「いや、それはいいんだけどさ。」
突然の来客は立花さんと、この前助けた女の子達だった。さらには保護者つき。
とりあえずリビングに上がってもらい、お茶を出す。
「あの時ちゃんとお礼をしてなかったから。本当にありがとう。」
「「お兄ちゃんありがとう!」」
「いや、そんなこといいんだよ。別に大したことじゃないし。」
「私からも感謝申し上げます。助けていただきありがとうございました。」
「はぁ。まぁ、どういたしまして。」
保護者さんまで頭を下げられると俺の方が気まずいのだけれど。
「じゃあ、俺の方から気になることを質問してもいい?」
「うん。なに?」
「どうやって俺の家を特定したの?」
「ツーン」
おい。あからさまに目を背けやがったぞ。立花、お前、俺のことを尾行していただろう。
「つーん」
「はぁ。まぁ何となくわかったからいいや。」
「お兄ちゃんすごい強かったよね!」
「ねぇねぇ!どうやったらあんなに強くなれるのー?」
小さい子供は純粋でかわいい。その純粋な目でそこのストーカーを見てごらん。
「それは私も気になります。一人で五人を倒すのは武道を何かやっているのですか?」
「あぁ、まぁ少しだけ護身術程度に。」
俺はあまり詳しいことを話さないように説明しておく。
「ねぇねぇお兄ちゃん」
「なに?」
「「汐菜お姉ちゃんといつ結婚するの!」」
んんんん????
「ちょっ!あんたたち!」
「あら、それは私も気になるわね~」
「ぇえ!シスター!」
「ん?シスター???」
「あっ!」
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