第2話 付き合うって知ってる?
「あなたのことが好きです。付き合ってください。」
んんんんん?
それは人気のない体育館裏での出来事だった。
普段は学校に来ることもあまりない不良女が時間を守って登校し、授業を受け、学校中で一番の話題となり、遂には学校一の優等生を呼び出した。
それはもう学校は大変なことになっていた。
それと同じように晴輝の脳内も大変なことになっていた。
付き合う?俺のことが好き?
は?なんで?いつ話した?接点は?
当然の大混乱である。そんな晴輝の前には頬を赤くし、恥ずかしそうに俯いている美少女がいる。
こいつって不良女って言われてるから何となく怖いイメージあったけど、メチャクチャ可愛いじゃん!
こんな可愛いやつに告白される何て、それこそハニートラップを疑うレベルである。
「そ、その、気持ちはありがたいんだけど、あまりに突然で混乱してるから、考えさせてもらっても良いかな。」
この時初めて告白される経験が豊富であったことに感謝した。
頭は混乱していても、それなりに妥当な返答が自然とできたのは、やはり経験値があったからだろう。
「うん、わかった!」
俺の答えに納得してくれた彼女は、一歩俺の方に詰め寄り、顔を近づけ、耳元で囁いた。
「絶対に私に惚れさせるから。」
そう言った彼女はすぐにその場から立ち去って、俺一人が取り残された。
どうやら、厄介なやつに目をつけられたらしい。
────────────────────
私はとある孤児院のある教会で育てられた。今もそこで生活しているが、今では私が一番年上で、一緒に生活しているのは小学生の男の子が二人に、中学生の女の子が一人、小学生の女の子が四人、そして私と、この教会を運営している今年で42歳になるシスターの九人だ。
その日、私は小学生の女の子二人を連れて夕飯の買い出しに近所のスーパーに来ていた。
その帰り道、私は会いたくない人に見つかってしまったのだ。
「おっ?汐菜じゃねぇか?」
「っ!」
その声を聞いた瞬間、背筋が凍った。
振り向くと、そこには不良男子が五人いて、そのリーダー格であり、私に声をかけてきた男が詰め寄ってくる。
「なんだぁ?お前のガキか?ちょっと来いよ、俺らと遊ぼうぜ。」
そいつらは、私が道を踏み外したときに知り合った、知り合ってしまったやつらだった。
「・・・いや。」
「ぁあ?いいから来いよ!」
男は強気で腕をつかむ。
「いや!離して!」
「ちっ!なら、このガキたちがどうなってもいいのか?」
「っ!」
気がつけば、二人を他の不良が取り押さえていて、二人はあまりの恐ろしさに震えていた。
「・・・わかった。だからその子達には手を出さないで。」
こうするしかなかった。
そもそも、私が道を踏み外してしまったことがいけないのだから。
「おい。」
そうして諦めかけたとき、一人の男子生徒が私の腕をつかむ男の肩に手をおいた。
「っなんだよ!」
「感心しないな。嫌がる女の子を無理矢理どうするつもりだい?」
その私の通う学校と同じ制服の男子が肩においた手で不良の肩を掴む。
「っぐぅ!」
すると、不良が顔を大きく歪め私の腕を離した。
「なにしやがる!」
「このやろー!」
すると、取り巻きの男たちが一斉に襲い掛かる。
「ダメっ!」
止めに入りたくても入れなかった。
「バカども」
しかし、5対1の状況で救世主くんは強かった。
殴りかかってきた男の腕を掴んで、もう一人の男へ投げつける。蹴りを入れにきた男の足を掬い転ばせて一撃の蹴りで意識を刈り取り、もう一人は腹パンで倒し、リーダーの男には手刀で意識を刈り取った。
「ふぅ、警察呼んでくれる?」
一瞬の出来事に頭の整理が追い付かない。目の前には五人の不良が倒れ伏し、その真ん中には一人の男の子が立っている。
「う、うん、わかった!」
そう言われて、とりあえず急いで警察に連絡をした。
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