ヤンキー処女と付き合うことになったら、いろいろと面倒なんだが!?

MASAMUNE

第1話 俺が何をしたというのだ。

その日とある高校の、とある三年生の教室は混乱の渦の中心地となっていた。


「ねぇ、ちょっと来てくれない?」


普段は学校に来ることもない不良女である

立花 汐菜


彼女が朝時間通りに登校してきただけで担任も驚きの一日だったにも関わらず、その彼女は放課後である今こうして、とある男子に声をかけていたのだ。


「俺?」

この学年の誰もが知るもう一人の有名人でありながら、彼女とは対局の存在である圧倒的優等生

鍋島 晴輝

入学から今日に至るまで一度も主席の座を譲ったことのない天才。


「あなた以外に誰がいるの?」

周囲の視線など気にすることもない二人はまったく気が付かないが、教室内どころか、廊下、隣の教室にさらに隣と大混乱を生んでいた。


「・・・わかった。」

晴輝が自分のスクールバックを持って立ち上がると、汐菜は無言で教室の外へと向かう。


当然、この二人が周りを気にすることはなく、教室は二人がいなくなったあとも、しばらくは混乱し続けた。



────────────────────



さて、何のために俺を呼び出したのか。


晴輝は当然考えるべきことを考えていた。


リンチ?いや、そんなことをされる理由が見当たらない。


まぁ確かに晴輝は成績優秀でスポーツも得意であり、ルックスも良い方で、当然女子にもモテる。


その辺りを妬んでくる男子生徒は少なくないが、そもそも彼女とは無関係なはず。


告白?それこそ有り得ない。


彼女が普通に学校に来ている女子生徒ならあり得るかもしれない。それは晴輝が実際モテているのだから。


しかし晴輝を呼び出した相手は滅多に学校にも来ない不良女である。


完全に校則違反の輝く金髪に、その髪すら似合ってしまう美貌、耳にはピアスもつけているし、正直それなりの進学校によく入学できたものだと失礼だと思いながらも感じてしまう。


そんな彼女が俺に告白なんてするはずがない。


接点がないのだから。


考えても答えは出ない。晴輝は予想することをやめ、一応何があっても良いように身構える。


ちょうど人気のない体育館裏にまできたところで彼女が振り向く。


ここで指を鳴らすと前と後ろから大量のヤンキーが出てきてリンチされるのか?


なんとなく悲壮な覚悟をしていたとき、


「──私と、付き合って」


「・・・?」

今なんて?


付き合う?

不良用語かなんかか?


だって普通に考えれば“恋人になって“って意味だろ?


でもそれは有り得ない。


なら?・・・


学年首席の頭脳をフル回転させて考えている俺に、彼女はもう一度言い直した。


「あなたのことが好きです。付き合ってください。」


んんんんん?





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