第36話 梅雨の片隅

皐月の花が枝から落ちて道端に溜まっていた。赤信号に引っ掛かったミキサー車のドラムがゆっくり廻っていた。低い空は腹に重い雲を抱えていた。排気ガスが植え込みに吐き出されて皐月は濁った。胸は湿気で一杯だった。吐息は石のように靴の上に落ちた。降り出しそうな雨は、いつまで経っても降らない。

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