第33話 甘酸っぱい苺の、玲やかな香り。

 未咲「ねぇねぇ、玲香ちゃん見て! すごいことになっちゃっ」

 玲香「それ以上こないでちょうだい! 近づいたら〇すわよ!」

 未咲「いつにもなくぶっきらぼうだね、玲香ちゃん……」


 そう、きょうの玲香ちゃんはとにかく察しがよかった。


 玲香「あんたのその……な下半身なんて見たくもないんだけど!」

 未咲「ん? 何? よく聞こえなかったから、もっかい言って?」

 玲香「言わないわよ?」


 その甘い匂いだけで十分すぎるほどやらかしてしまってるからね。

 ――言おうとしたけどやめた。


 未咲「はぁ、はぁ……でもね、すっごく気持ちよかったんだよ?」

 玲香「はいはい、それはよかったですね」


 曰く、なにかがはじけて爆発するような感覚だったらしい。


 未咲「れいかちゃんのことを思ってしたんだよ? 何もないの?」

 玲香「そんなの当然よ」


 あきれ顔をしてみせる玲香ちゃん。

 こんなに発情に発情してるわたしを襲ってこないなんて……もう!


 未咲「この持て余し状態を慰めてくれるのは、わたしの右手だけだよ……」

 玲香「……わかったわよ、こっちに来なさい」

 未咲「えっ、いいの?」

 玲香「さっきから甘酸っぱい香りが鼻を衝くし、さすがに耐えられないわ」

 未咲「それって……」


 とたんにむずむずしだすわたし。やばいっ、第二波がくる。


 未咲「んっっ」

 玲香「ちょっ、あんたねぇ……」


 ちょろちょろと聞こえ出す水の音。同時に漂ってくる香り。

 顔を真っ赤にしながら、未咲は教室で二回目のやらかしをしてしまった。


 未咲「とまんないよぅ、どうしよう……」

 玲香「じっとしてなさい」

 未咲「えっ、玲香ちゃん、何して……?!」


 じゅるる……と音がしはじめる。何をしているかは、想像してほしい。


 未咲「だめっ、いまそんなに吸われたら……んん~~っ!」

 玲香「あのね、じっとしててって……?!」


 あたたかい液体が、口の中に流れ込んできた。甘い味なのは変わってない。

 ただきょうのに関しては、ただ甘いってだけじゃなくて、とても甘かった。


 玲香「(なに、これ……ほんとに未咲の身体から出てきたっていうの……?)」


 それはもうおしっこを通り越して、市販の苺のジュースのようだった。

 いくら甘くなるからって、ここまで甘くなるなんて聞いてないわよ?!


 玲香「(こんなの飲んでたら、あたまおかしくなっちゃいそう……)」


 気づけばみだらに脚を広げて、下着があらわになっていた。

 何か出てきそうになったのがわかったので、すぐさまキュッと締めた。

 けどダメだった。


 玲香「(まさか、未咲同等かそれ以上にみだれてしまうなんて……)」


 勢いはとどまることを知らず、床一面に拡がった。


 玲香「(とっさに飲もうなんて考えたけど、結果はさんざんね……)」


 もう、未咲には絶対に惑わされまいと固く誓った。




 <タイトル註釈:玲=さわやか>

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