第27話 こんなに寒いのに

 玲香「わたし、ふと思い出したことがあるの」

 未咲「?」


 突然、玲香ちゃんが口を開いた。


 玲香「あんたが寒中水泳部なんてものを創ろうとしたこと」

 未咲「あー、あったね、そういえば」


 本人はよく覚えてないらしいけれど、わたしははっきりと覚えてる。

 なんとか説得してなしにはなったけど、正直どうかしてると思う。


 玲香「誰がそんな部活に入りたがるのよ」


 そう言った記憶がある。きっと間違ってはいないはず。


 未咲「冷静に考えてみればそうだよね……

    でもね、あのときはほんとうにやる気だったんだよ?」

 玲香「あんたの発想、はっきり言って常軌を逸しすぎてると思うんだけど」

 未咲「まったくです……」


 反論はできなかった。


 春泉「ハルミは入ろうと思ってたのに……」

 玲香「どこまでついていく気だったのよ、春泉まで……」


 このふたりの考え方に、まったくついていける気がしないわたしだった。


 玲香「あと未咲、ひとつお願いがあるんだけど」

 未咲「なに?」

 玲香「机の角にぶつかるたびに『あんっ♪』とか言うのもやめて」

 未咲「それはやめないよ」

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