第25話 大きな水の音がした
誰もいなくなった放課後。わたしはひとり、トイレにいた。
ロコ「よいしょっ、と」
いまからすることは、とっても恥ずかしいこと。
スカートは汚れないようにしっかり持ち上げる。だけど、ぱんつは穿いたまま。
ついかぁぁっと顔が赤くなって、呼吸もすこし荒くなる。
覚悟を決めたとき、わたしのおなかにはたくさんのお水が溜まっていて、
それはもう破裂してしまいそうなほどの量で、やっぱり恥ずかしくなった。
ロコ「誰も、来ないよね……?」
もともと生徒数が少ないし、この時間にトイレを使う人なんていないはず。
だから、いましかない。わたしはどうしてもきょう、やってみたかった。
ロコ「ぱんつをはいたまま、おもらし……みんなの気持ちを知るために……」
わたしのクラスの子たちは、とってもおもらししやすい。
そのために作られたんじゃないかな、ってくらいに。
ロコ「なんて言ってたら、だんだんおしっこが下りてきちゃいそう……」
きゅぅっと脚を閉じて、なるべく限界まで我慢してみる。意外といけそう。
ロコ「うみちゃんには敵わないけど、わたしも比較的少ないほうだし……」
我慢には、それなりに自信がある。
穴を閉める筋肉をめいっぱい使って、もうだめってところまで耐えてみる。
ロコ「これ、長くはもたなそう……あっ、やだ……///」
ぱんつに少し染みを作ってしまうくらい我慢してる。かれこれお昼くらいから。
そんなことかまわずに皆トイレに行くから、ちょっとうらやましそうに見てた。
ロコ「どうしよう……トイレでおもらしなんてしたくない……」
だけど、一度決めてしまったから、もうこのままやってしまうしかない。
気持ちの整理をはじめたいけど、考えると余計にあせって止まらなくなる。
ロコ「待って……おしっこ、まだ出ちゃだめ……!」
ちょろちょろと出はじめてようやく、その異常さに気づく。
いまわたしがしていること、どう考えても普通じゃない……!
ロコ「はぁ、はぁ……と、止まった……?」
目がとろんってなってる気がする。おなかがうずいて止まらない。
息を大きく吸った次の瞬間、ぐっとおなかに力が入ってしまった。
ロコ「んんっ!!」
さっきより激しい水の音が便器をたたく。あきらかにやっちゃってる。
ロコ「もう、だめ……」
なさけなく力をゆるめ、少しずつ出していくことにした。
いまのわたし、どんな顔してるんだろう……とても想像できなかった。
ロコ「あぁぁっ……き、きもちいいよぉ……」
ありふれたことばで、いまの気持ちを表現する。
人生で次第に経験しなくなっていくその感覚を、ずっと忘れないでいる。
そのために今回、こんなことをした、はずだった。
だけど、口に出たのは真逆のことばだった。
ロコ「みんな、ごめん……わたし、こんなに悪い子になっちゃった……」
つい涙が出る。自分ではじめたことなのに。
顔ではよろこんでいながら、内にこもっている気持ちは正反対。
自分でも何をしているか、わからなくなっちゃいそうで。
最後の力を振り絞って、おなかに溜まっていたものは全部出し切った。
のこってしまったのは、悲しい気持ちだけ。
未咲「ふぉぉ……聞きました、いまの爆音?」
うみ「あぁ、まさかロコがこんなことしてるなんてな……」
えっ……もしかして、この声は……?!
うみ「未咲がなんか受信したって聞いてついてきたら……ロコもよくやるな」
未咲「うん……もはや、これは永久保存版だね……」
音もばっちり聞かれて……?!
ロコ「はぅぅっ……恥ずかしい、よぉっ……」
その気持ちだけで充分だった。
わたしは直後、身体を大きく跳ねさせて意識がどこかに飛んでしまった。
ロコ「ふぁ……また出る、でちゃうぅっ」
またはっきり聞かれそうな音をさせて、わたしは恥ずかしいことをした。
目は、しばらく開けられなかった。
♦
ロコ「もうあしたから、学校いけないよ……」
そう言い残したロコちゃんの背中は、どこか悲しそうで放っておけなかった。
未咲「ロコちゃん!」
ロコ「未咲ちゃん……?」
ぐしゃぐしゃでよくわからない顔をしてるわたしに声をかけてくれるなんて、
と思ったけど、振り向いてみたら、事態はわたしが思っていたより複雑だった。
未咲「いまからうみちゃんが、ロコちゃんを慰めてくれるそうです!」
うみ「あ、あぁ! もちろん覚悟はできてるぞ!(えっどうなるんだあたし)」
ま、まぁ、ここは未咲にまかせてみてもいい、のかな……。
次の指示を待っていると、突然未咲があられもないことをしはじめた。
うみ「うおっ?! はっ?! ちょ、おま、何やってんだいきなり!」
未咲「何って……おま〇こマッサージだよ♡」
うみ「そういう事か~~~~っ!」
前から、そして後ろからも腕を伸ばして、たいへんいやらしい
手つきでまさぐる、恥のはの字も読めなさそうな同級生。
偶然にもこのときのうみちゃんはロコちゃん触発されて、満タンだった。
うみちゃんのうみは、いままさに外の世界に臨むところみたいだった。
うみ「やめてくれ未咲っ……じつはもう、限界で……」
未咲「そんなこと言わなくたってぜ~んぶわかってるよ、うみちゃん♡」
うみ「ったく、お前はあいかわらず……!」
上下に指を動かして促す未咲。さすがのあたしもこれには屈してしまう。
うみ「離れろ未咲、お前の指についちゃうぞっ、汚いんだぞ……?」
未咲「こんなに呼吸がみだれてるうみちゃん、めったに見られないね♡」
うみ「こんにゃろぉ、ずっと幸せそうな顔しやがって……!」
対照的な表情で、ふたりの関係は続いていった。
そして、その時はやってきた。
うみ「あぁっ、はっ……待て、違うんだ、これは……」
出るところが見せびらかされているせいで、こんなことを口走ってしまう。
ついにやってしまった。その跡がくっきりあそこにのこっちまった。
もう引き返せない。未咲のされるがままに、あたしはなってしまっている。
未咲「ほら、まだ出るでしょ? えんりょせずに、いつでも出していいからね」
うみ「遠慮なんてするかよ……せめてあたしのタイミングで出させてくれ……」
息が絶え絶えになってきた。限界が目の前に見えてきた。
どうしよう。もう、そのことしか考えられなくなってきた……。
そして、あたしは覚悟を決めた。
うみ「いいかロコ……これはあくまでお前のためなんだからな……
けっして好き好んでこういうことをしてるわけじゃないって
ことだけはわかっていてくれ。あたしの頼みは、それだけだ」
長めのセリフを放ったあと、あたしは下を向いて発射準備を整えていた。
うみ「うぁ……もう我慢できないっ」
柄にもなく内股になりながら、ためにためたものを放出しはじめた。
下着をつけたまま、だ。つくづく、なんでこんなことしてんだろ……。
うみ「しかしこうやって、ふたりに見守られながら果てるってのも
悪くはないかもな……って、何いってんだろ、あたし……」
ははは、と乾いた笑みを浮かべて、あたしはひとり感慨にふけっていた。
うみ「これでおあいこ、だな……あたしとロコはおもらしフレンズだ。
心配すんな。こんなの、冬の世界ではよくあることじゃないか」
もちろん未咲も、な。
かつて持っていたかもしれない柔和さを、いまやっと取り戻せた気がする。
ロコ「うみちゃん、そこまでしてわたしのこと……」
うみ「ほとんど未咲の指図で動いてただけだけどな」
未咲「あれっ、もしかしてわたし、なんか大変なことしちゃったかな?」
よくも悪くも未咲らしい。しまいには三人で笑顔になって、丸く収まった。
……って言っていいのかは知らねーけど、とにかく一件落着、ってことで。
あしたも学校来いよ、ロコ。
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