第20話 瑞穂はわたしが預かった

 痴女騒ぎもひと段落したころ、うみが提案を持ち掛けてきた。


 うみ「なぁ瑞穂、あしたからあたしといっしょに通学しないか?」

 瑞穂「はぁ? 嫌ですよ、うみさんとなんて……」

 うみ「そうカタいこというなよ。これからは仲良くいこうぜ」

 瑞穂「死んでも嫌ですね。お断りさせていただきますっ」

 うみ「確かにさぁ、玲香の一件に関してはちょっとあたしも考えたんだけど、

    完全否定はできない。あの容姿は同性が見ても若干反則ぎみだからな」

 瑞穂「で、ですよね! だったら……」

 うみ「でも、だ。それでもしちゃいけないことくらい区別できないか?」

 瑞穂「うぅ……でも、あんなの目にした日には、誰だって我慢なんて……」

 うみ「いったい他の誰が、お前みたいに暴走したよ? 言ってみろよ」

 瑞穂「えっと、わたしだけです……」

 うみ「つまり、異常なのはどう考えてもお前ってことだ。ちゃんと反省しな」

 瑞穂「どう考えたって、悪いのは玲香さんのナイスバディなのに……」


 ぶつくさ言いながら、瑞穂は自分の席につこうとした。

 しかし、突如としてその時は訪れた。


 瑞穂「(ど、どうしよう……みんなの前で恥かかされたせいで尿意が……)」


 それだけが原因ではないだろうけど、意識してしまい立ち尽くすほかなくなった。


 瑞穂「(ほんとにどうしよう……もう、一歩も動けないっ……)」


 尿道のあたりが、ふいにかっと熱くなってきた。限界が近い。

 心なしか腰が少しだけ前に突き出されるような気がして、恥ずかしくなった。


 瑞穂「(覚えていてくださいよ、うみさん……!)」


 ぎゅっと目を閉じる。

 捨て台詞を心の中で吐きながら、わたしは抗う素振りも見せることなく果てた。

 だってこれ、わたしじゃどう頑張っても我慢できるような代物じゃなかったし。


 誰かの耳には気持ちよさそうにも聞こえそうな音が、ずっとしていた。

 人一倍溜め込んだそれが教室の床を潤すけど、どうあがいてもむなしい。

 うみさんは誰よりもはっきり呆れ顔をして、軽蔑の情をむきだしにしていた。


 うみ「ほんっと瑞穂って、見た目から中身まで子どもみてぇだよな……」

 瑞穂「うっ、うるさいですね……ほっといてください!」


 涙目になりながら、わたしは反論した。

 息が上がり顔が熱くなっているのを自覚しつつ、言わずにはいられなかった。


 ♦


 そのころ、未咲はどこか浮かれた顔をしていた。


 ――


 玲香「んっ……ここのコードがどうしても押さえづらいわね……」


 玲香ちゃんは試行錯誤していた。

 ギターがもっとうまくなるように、自室でひとり練習しているみたい。


 玲香「いっそこうして……でもこの響き、なんか違うのよね……」


 つい熱中しているみたいで、時間も忘れているみたいだった。

 暖房もつけないで、さぞかし寒かろうに。


 ついに耐えきれなくなったのか、玲香ちゃんが身震いをひとつした。


 玲香「なに、この寒さ……まるで、冷蔵庫の中にいるみたい……」


 そのことに気づいたとき、ふいに下半身に訪れる感覚があった。


 玲香「……いいや、あとにしよ」


 何を思ったか、玲香ちゃんはその行動を後回しにした。

 その選択が何を意味するのかなんて、ちょっと考えればわかりそうなのに。


 玲香「んしょ」


 姿勢を整えようと腰を動かしたとき、おなかに力が入ってしまった。


 ……じょっ。


 玲香「!?」


 驚くのも無理はない。玲香ちゃんはようやく強い尿意を感じたみたい。


 玲香「ちょっ、これ、どうしたらいいのよ!」


 ゆさゆさと身体を揺らすけど、それをしたら余計にしたくなってしまい……。


 玲香「やだっ……ここ、自分の部屋なのにぃっ……」


 なさけない音をあたりに響かせて、玲香ちゃんは子どもに還ってしまった。


 玲香「こんなことなら、早くトイレに行っておけばよかった……」


 どこか悔しそうな顔が、見事にわたしの性癖に刺さるみたいだった。

 自覚してしまうと、自然とわたしの手が股に生えるそれに伸びてしまっていた。


 ――


 未咲「玲香ちゃん、玲香ちゃんっ……!」


 はたから見て、とっても気持ち悪い画になっていそうなのは容易にわかる。

 そのことに気づいてもなお、その手を止めることはなかった。


 未咲「見て、玲香ちゃん……わたしもいっしょにおもらししてあげるから……」


 溜まっているのは、性欲だけではなかったらしい。

 我慢できなくなっていくそれを、いじりながら少しずつ感じていった。


 ぱくぱくとひくつかせながら、こみあげてくるものと少しばかり戦った。


 未咲「あっあっ、だめ……おしっこ、もうがまんできない……」


 はじめはちょろちょろと、次第にそのいきおいを強めて椅子を濡らしていく。

 教室の一角が、誰の目から見てもいやらしい画に仕上がっていく。


 そのさまを誰よりも熱い視線で観ていたのは、ほかならぬ瑞穂だった。


 瑞穂「(未咲さん?! なんか、わたしより酷いことになってるような……)」


 椅子から滴る雫、あたりに漂う温かそうな湯気、ぐったりした未咲さん本人。

 どれをとってもわたしにとってそそられるような、そんな光景が生まれていた。


 瑞穂「(未咲さん見てたら、なんかまたおしっこしたくなってきちゃう……)」


 もじもじと身体をくねらせて、思わずわたしはきゅっと制服のすそをつかんだ。

 目をそらそうとしたけど、やっぱりそれらが持つ魅力には抗えそうもなかった。

 気づけばわたしは、未咲さんの前で黄色い排泄物にまみれた下着を晒していた。


 瑞穂「あっ、あの……!」

 未咲「なぁに、瑞穂ちゃ……って、えぇぇっ!」

 瑞穂「わ、わたしもしていいですか……ひゃぁっ、も、出ますっ……!」

 未咲「だめだよ瑞穂ちゃん! そりゃ、わたしも我慢できなかったけど……」


 言っても遅く、見たことないくらいに足を震わせて下のほうを水浸しにさせた。

 反面、その顔は悦びに満ち溢れていて、♡をそこらじゅうに漂わせていった。


 瑞穂「未咲さんにおもらし見てもらえて、わたしは幸せ者ですぅ……ばたんっ」

 未咲「瑞穂ちゃーん!」

 うみ「わたしが瑞穂を保健室に連れてく。未咲も少しだけ手伝ってくれ」

 未咲「うんっ、いくよ、せーのっ!」

 うみ「そういや未咲もやっちゃってたっけ……あとはあたしにまかせろ」

 未咲「よろしくね、うみちゃん」


 おもらしの仕方も人それぞれだなぁと、わたしは感じずにはいられなかった。

 わたしの妄想も、きっとほんとうだったらいいな。

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