第12話 ×らしたくない、こんなやつの前で! - 7,8! -
うみ「くそっ、なんてこった……」
感じたことのない尿意だった。それはあまりに突然で、さすがに困惑した。
うみ「ここ電車ん中だぞ……もしここで出しちまったらどうなるんだ、あたし」
この声さえもおさえきれなくて、たぶん、いやきっとまわりに聞かれてる。
気づいて恥ずかしくなった。でも、さすがのあたしでもこれはちょっと……。
うみ「なんだって毎日こんな寒いんだよ……おい神様、聞こえてんのか……?」
内股ぎみになりつつ、なんとか耐えるあたし。
肚ん中に溜まってるきったねぇのが、ずしんとくるもんだからめっちゃ苦しい。
うみ「やべっ、いまちょっと我慢しきれなかったような……」
わきめもふらずに肝腎の部位をさわり、自分のしたことに気づく。
そのぶんが染みになっていることは、軽く考えてみればすぐにわかった。
すぐにわかってしまったからこそ、余計に恥ずかしさが増す。やめてくれ……!
うみ「ったく、早く電車駅に着けっての……もれたら冗談じゃ済まねぇぞ……」
いらだちがおさまる気配はついになく、なんとか駅まではもちこたえた。
うみ「トイレまでもてばいいんだけど……この調子じゃ無理そうだな」
悟るのが早かった。あたしの穴はすでに、排泄行為をはじめようとしていた。
うみ「しゃがんでそのまますっか……こんな状況だし、誰も何も言わないだろ」
そう思っていたが、さすがにまずかったようで。
瑞穂「おやおや、そこにおられるのはわが親友のうみさんではありませんか」
うみ「うひゃぁっ、瑞穂?!」
突然声をかけられて、あたしはあわてふためいた。
同時に尿意もなぜか引っ込んだみたいで、ひとまず安心することができた。
うみ「な、なんだよその勝ち誇ったような顔は……」
瑞穂「何って、ふつうにしてるだけですけど?」
うみ「そうか、そうだよな……あはは……」
まずい。気まずさと恥ずかしさのせいでまたもよおしてきた。
でもさすがに瑞穂の前でするわけにいかないし……さて、どうするあたし。
瑞穂「このところまた冷え込んできましたからねー、わかりますよー」
うみ「な、何のことやらさっぱりわかんねーぞ?」
瑞穂「そんなに薄着で大丈夫なんですかぁ? わたしはー、ほら、厚着ですっ」
うみ「あ、あー、よかったな、あはは……」
ちくしょう、なにが『よかった』だよ、我ながらヘンなこと口走りやがる。
あぁもう、瑞穂としゃべってたらなんかむずむずするなぁ……。
瑞穂「もしかしてぇ、我慢の限界だったりー?」
うみ「我慢、って……我慢なんて、これっぽっちもしてねーけど?」
瑞穂「またまた~、そうやって隠そうとするの、よくないと思いますよっ」
うみ「おい瑞穂、どこさわって……ひぅん!」
柄にもなく色っぽい声が出ちまったみたいで、それを聞いた瑞穂は喜んだ。
瑞穂「ふふっ、ねぇねぇうみちゃ~ん、これなぁに?」
うみ「なにって……想像にまかせる」
瑞穂「何ですか、その言いのがれかた? しつけのなってない子どもみたい」
うみ「どこがだよ……どこをどう解釈したらそうなるのか、さっぱりだ」
瑞穂「ともかく、さっさと楽になるのです。神様もきっとそうおっしゃってます」
うみ「さてはお前、最初からあたしをつけてやがったな!」
よだれをたらした瑞穂の顔は、言い表しようもないくらいに緩みきっていた。
瑞穂「うみちゃーん、いい子だからここでいっぱいちーぱっぱしまちょーね」
うみ「やめろっ、あたしはもうそんな歳じゃねぇ! はっ、はっ……あぁっ」
口と目を閉じて必死に耐えるあたしを、瑞穂は盛大にからかってきやがった。
瑞穂「放っておいてもおもらししそうね……あとはじっくり眺めようかなぁ」
うみ「玲香にもこういうことやっていたのかと思うと……お前ってやつは!」
この括約筋が活躍してくれているのも時間の問題で、すさまじい尿意だった。
瑞穂「この力の入りよう……カメラで撮っておさめてもいいくらい素敵です」
うみ「目を輝かせてんじゃねぇよ、どうしようもねぇ変態じゃねぇか……!」
なんだかあたしはとてつもなく悔しくなった。
自分だってよくもらすくせに、よくもまぁこんなことができたもんだ。
瑞穂「さぁ、こいっ!」
うみ「ちくしょぉっ、こんなやつの前でもらすことになるなんて……!」
こらえきれなくなって、肚から搾りだすようにまずは一回。
瑞穂「まだまだ出せますよね? ひと思いにやっちゃってください!」
うみ「一歩間違ったら、っていうか完全にセクハラだろうよこんなの……!」
その気にもなれねぇよ、こんなやつの前じゃ……。
あぁ、こんなことだったらまだロコと一緒に通学してたほうがよかったかな。
きょうは瑞穂のやつ遅れて通学するって言ってたし、なおのこと悔やまれる。
うみ「うあぁっ、やだ、こんなところで、もらしたくない……!」
少年みたいな声になりながら、あたしはそれでも必死に耐えた。
だけど、もうだめだった。早く出したいと思ってしまった。
うみ「瑞穂のやつ……覚えてろよ……!」
下着からぽたぽたと零れ落ちていく、生暖かい雫。
やがてそれは、一筋の荘厳な黄色い滝となって、下着全体を濡らしていく。
うみ「(くやしいけど……きもちいい……)」
思ってもみなかった感想が頭ん中にうかんでは、ひとりこっ恥ずかしくなる。
瑞穂はまるで耽溺しているかのような表情をうかべて、ひたすら楽しんでいた。
瑞穂「どうでしたか? わたしに見られながらのおもらしは?」
うみ「はっきり言うなよ、人いるんだぞ……誰も関心なさそうではあるけど」
瑞穂「だったらいいじゃないですか。何を恥ずかしがる必要があるんです?」
うみ「あのなぁ、こういうことは誰だって恥ずかしい……はずだぞ……」
そう、一部例外をのぞいて。
瑞穂「語気が弱まった理由をはかりかねますけど……つっこんでも」
うみ「やめろ、これ以上被害者を増やしたくないからあたしは黙秘を貫くぞ!」
その後、なんともなかったかのようにとりあえず学校には向かった。
ただ……あたしらにとって、今後がとても心配だ。
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