第8話 数字の呪い

 玲香ちゃんから電話があった。


 玲香「未咲、起きてる?」

 未咲「(☎)起きてなかったら電話出れないよね……むにゃら」

 玲香「寝てるじゃない」


 こんな朝に電話なんて、なにかあったのかな……覚えていたのはそこまで。


 玲香「けさ奇妙な夢を見たのよ。それで話したくなって」

 未咲「ぐぅすか……」


 だめだ、完全に寝てる。

 話し相手がいなくなるとわかった途端、わたしはまた強い睡魔に襲われた。


 玲香「!!」


 その数字は、やっぱり現れた。

 これが見えてしまうと、なぜか野菜しか食べる気がしなくなりそうだった。

 その程度か、と思う人もいるかもしれないけれど、普通のわたしには辛い。

 とにかく奇妙だ。呪われるようなことをした覚えはないのだけど。


 玲香「……これは夢、よね」


 やけにはっきりと、そのことばだけはつぶやける。

 そういえば最近よく見るような気がする。意識過剰なのかもしれないけど。


 玲香「まるで、2月みたい」


 4年に一度の、2月みたいだと。それは、これまで忘れていた音楽とともに。


 玲香「何だったかしら……」


 思い出せそうなところまできていて、それでいてどこかぼんやりしている。


 玲香「いつか、思い出せるといいけど」


 その日は終始夢うつつな状態で、過ごす羽目になってしまった。

 いつかきっと、思い出そう。


 そういえば未咲の電話番号にも、この数字列の並びがあったような……?

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