第6話 まずはポーション薬学
睨みをきかせてくるメイドたちに見送れ、俺はメイド長室をでた。
「痛ぇ……」
顔の形がかわってないか心配しつつ、ロープの内側から、透き通った水色のポーション小瓶をとりだし、ぐいっと一口あおる飲む。
「あー、サリィ、なんかのんでるー」
「ん、レティスお嬢様、待っていてくれたんですか」
「うん! レティスののシモベをかってに連れていくなんて、許せないわ!」
「本当です、本当です。なんで俺がこんな目に合わなくちゃ……おっと、部屋の中にはこわいメイドさんたちがいますから、すこし歩きましょうか」
「いいわよ! サリィといっしょに歩いてあげる!」
ちいさなレティスお嬢様と手を繋ぎ、見知らぬ廊下をあるく。
足裏からつたわる赤絨毯が分厚すぎて、足音が鳴らないところは魔法省とそっくりだ。
「ねぇねぇ、サリィ、さっきは何飲んでたのー?」
「レティスお嬢様はご存知ないですか? あれはポーションと呼ばれる特別な
「へぇー! サリィってポーション作れるんだー!」
「えぇ、多少は。ですけど、一番純度の低い青ポーションだけですけどね。
ポーション薬学は触ったていどですので、本職の錬金術の
レティスはニコニコ笑い、タッタッタっとかけて前へ。すこし先でこちらへ振り返って手をひろげた。
「すごいわー! サリィ、わたしもポーションを作ってみたいっ! サリィは、ママと違って、わたしにたくさんの事を教えてくれるんでしょー?」
無邪気に目を輝かせる少女、いや、幼女。
「ええ……手取り足取り、なんでも教えてあげます」
邪念なく、純粋すぎる愛でこたえる。
レティスお嬢様の顔がパーっと明るくなった。
「わーい、やったーっ! それじゃ、今日はポーションを作ってエゴスにいたずらしましょーっ!」
「ええ、いいですよ。たくさん困らせてやりましょう!」
⌛︎⌛︎⌛︎
パールトン邸にやってきて、まだ1時間しか経っていないにも関わらず、俺はさっそく初回授業をレティスへほどこすことになった。
無邪気に手をひいてくるレティスに先導されて、俺はパールトン邸の魔術工房へやってきた。
狭く、換気のできてない薄暗い部屋。
「ここね、レティスのお気に入りのばしょー! むかし、ママが使ってたんだってー!」
「レトレシア魔術大学校長の、かつての工房……なるほど、とても興味深いですね」
自慢げに薄い胸をはるレティスの頭をなでる。
レティスは「特別なだからねっ」と言いながら、すごく気持ちよさそうに、頭をこすりつけてきた。
がわいぃ……ッ。
「それじゃ、とりあえずポーションの基礎から学びましょうね」
整理という言葉を知らない雑多な作業台のうえから、薄汚れたフラスコと、腐った魔力溶液を手にとる。
「うぅ、これは……」
「ねぇねぇー! はやくポーション作ろー!」
「レティスお嬢様、とりあえず買い出しに行きますか」
俺はレティスの手をひいて、工房をあとにした。
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