第18話 池の見学
9月中旬日曜日の昼下がり。明日は敬老の日だ。
「やっぱりアポイントメント取った方が良かったかなあ。」
手土産ぶら下げて、弱気になっている俺に、
「いや、こういうのは直接行って説明した方がいいって。電話して、面倒くさがられたらお断りされるじゃん。」
と、正司。
「大体、口が達者なお前がしゃべればいいじゃんか。」
「いくらでも口助けはするから、あきらめなさーい。」
と、押し切られる。
「お。2人共来たぞ。」
ナオちゃん家の斜向かいにある空き地で俺達はヒロミとナオちゃんを待っていた。
交通の便が悪いここら辺の住人は車が移動手段となっているため、これから向かうお隣さんである
細萱さんも突然何人も知らない人間が訪ねて言ったら困るだろうということで、文化祭で知り合ったナオちゃんを借りに来た、という事をヒロミが説明しに行っていたのだ。
「そろったね。じゃあ行くか。」
まずは丁寧に挨拶、その次にナオちゃんと知り合いであやしい者では無い説明、池の見学をしたい説明。…緊張する。
ブロック塀に囲まれた敷地に入ると左側に木と石が程よく配置された池が見えた。充分な大きさがある。
さて。
考え始めると行動が止まってしまいそうなので3人の視線を受けつつ、呼び鈴を押す。
中で、鳴っている音が聞こえる。が、静まり返っていて人の気配がしない。
もう一度押す。
鳴る。
しかし何も起こらない。返答さえない。
居ないんじゃないか ?
玄関の引き戸に手をかけて少し力を入れると動いた。鍵は開いているのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます