第16話 好みの浴衣

 クイーン選の発表が始まった。

 3位 3年2組

 何か、ふわふわフリフリな感じ

 2位 2年1組

 大人っぽい縦縞の白黒

 1位 3年3組

 涼しげな水色の浴衣。帯も凝っている。

 どれも、俺の好みと違った。

 飴ちゃん持ったクイーンと、付き添いの子達が会場を出ていくと、残った生徒たちで片付けが始まった。テーブルや小物なんかを運ぶ事ぐらい出来るので少し手伝って、会場を出ようとした時にヒロミが駆け寄ってきた。

「私も手伝い終わり。……何番に入れた ? 」

「3番。ミコトさん、残念だったね。」

 一応、1の3へ入れた。

「応援してくれたんだね。ありがとう。」

「俺は8番。3位の人に入れたよー。」

 嬉しそうに正司が言う。

 ピンクの浴衣で、ふわふわ髪にいろいろ飾りつけてた人だ。

「大志くんは ? 3番以外だったら何番にいれてた ? 」

 ヒロミがさらに聞いてきたので、

「幾何学模様も面白かったけど、5番だったかな ? 藍色に黄色の帯の、キリッとした浴衣のやつ。あの配色とか、すっきりした感じが好みかな ? 」

 ヒロミが黙り込んだ。

「…クイーン選だよね ? 浴衣が似合っている子を選ぶんじゃねーの ? 浴衣そのものじゃなくて。」

 正司が突っ込んできた。アレ ?

「ヒロミちゃんは ? どんな浴衣が好き ? 」

「うーんと、着付け手伝い練習の時にね、集まってた人達の浴衣をいくつか羽織らせてもらったんだけどね、ピンクとかぜんっぜん似合わないの。似合ったのはね…」

 何となく言い淀んでいるヒロミに、

「藍色に黄色のやつだ ! ! 」

 両手の人差し指でヒロミを指しつつ、

「さすがだね。」

 そのまま指をダウジングして俺を指すなっっ。

 顔が火照った俺は2人より先に歩き始める。

「ヒロミちゃん、誕生日に浴衣買って貰えば ? 」

 正司がヒロミに話しかけている。振り返りたくない俺は頭の上でバツを作る。身につけるものを贈るなんてまだ無理。

「9月末に浴衣はちょっとキツいよ ? 」

 ヒロミが答えて、

「そうか、残念。」

 で、話は終了した。









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