陰恋

マイキー

第1話

19××年2月14日ちょうどバレンタインデーの日。小学生の俺、冴木遼は児童養護施設「城沼学園」に入ることになった。児童相談所の職員と3人と黒のPRIUSに乗り城沼学園に向かっている。

職員の1人、小森さんが俺に言う。

「大丈夫よ。遼君が思っとるような悪い所やないけん」

「施設ってテレビで見るような厳しいところやないんですか?」

「テレビにでとる施設は昔の話、今は全然違うよ。1人1人のことをちゃんと見てくれる先生がいるよ。だから安心して」

と小森さんは俺の頭を、手でヨシヨシしている。親に頭を撫でられたりすることがなかった俺はこの時間が幸せに感じた。

「着いたぞ」と運転席に座っているスポーツ狩りで体格ががっしりしている岩島さんが低い声で言った。

到着したので車から降りて、目の前にある城沼学園を見た。

1週間前に児相で写真を見たとおり綺麗な場所だった。建物はアスファルトで作られており屋上を含めて3階建ての建物が2つあった。入り口の門の横に城沼学園と彫られていた。

小学校の正門を思わせるような入り口だった。

門を開けて正面玄関の扉を開けて中に入ろうとするとチリンチリンと鳴った。なんの音だろうと周りを見ると扉の上の部分にに鈴が2つついていた。

鈴に気を取られている俺に小森さんが耳打ちする。

「遼くん前みて!」と言われたので前を見ると作業服に身を包んだ男の人と紺のスーツをきた男の人が立っていた。

俺はつかさず2人の男の人に挨拶と自己紹介を簡単にした。

「今日からお世話になる冴木遼君です。よろしくお願いします」と言って小森さんは頭をさげた。

「そんなかしこまらなくていいよ。小森先生。君が冴木君かぁ。園長の三浦です。よろしくね」

紺のスーツの男は城沼学園の園長みたいだ。

「とりあえず上がろうか」と作業服を着ている男の人が言った。

履いているPUMAのトレシューを脱いで、中に入る。

入って右側には小学校の職員室のような部屋があって職員らしき人達がパソコンをカチカチと打っている。

「ここは職員室。学園の先生が仕事する場所。そしてあそこが園長室」三浦園長が説明してくれた。

園長室?園長が仕事する場所なんかな。校長室みたいやな。

「園長室の中に入って座っとって」作業服の男の人が言い園長室のドアを開けた。

中に入ると食卓に使われそうなテーブルが1つと椅子が4つそして左側にもう一つ机があって机の上にビデオデッキ、デッキの上古そうなテレビが置いてあった。机の下には大量のコピー機に使われる紙が置いてあった。

物置きちゃうんかと俺は思った。

「まぁ座って」三浦園長がそう言うので俺と小森さんは座った。岩田さんはドアの前に立っている。

向かいに三浦園長と作業服の男の人が座る。

「冴木君、ここがどういう場所か分かるかい?」

三浦園長は静かに聞いてきた。

「児童養護施設」

俺はつかさず答えた。

「そう。家庭の事情でここに来ている子がほとんどだけどみんな良い子だから遼君か仲良くしてね」

笑顔で三浦園長は俺に言った。

「佐竹先生、部屋まで案内してあげて」

作業服の男の人は佐竹先生というらしい。

「分かりました。じゃあ遼君行こっか」

案内された部屋はワンルームの部屋だった。










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陰恋 マイキー @meidai920

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