04.素手格闘編

【まえがき】

 アクション小説の限界はどこだ!? ということで、自分なりに可能性を模索します。

  今回のお題は素手格闘、よろしくお付き合いのほどを。



【本文】


 向き合う。据える眼が合う。戦意。視える。同類と知る。

 互いに素手、得物はない。間合いの外を保って歩を止める。


 両の拳に軽く力、腰と膝に軽くバネ。

 眼に意図を見る。澄んで機だけを窺う眼。

 睨む。睨まれる。しばし刻が凍り付く。


 寸歩、詰める。相手も寸歩、まだ遠い――が。


 弾けた。踏み込み。相手から。

 沈む。深い。間が詰まる。


 踏み込む。軽く左ジャブ――だけを見せ。

 下から相手が伸び上がる。斜め下から蹴り上げ――右足。側頭へ。


 踏み込む。本気。軸足を替えて大きく前へ。沈む。くぐる。詰めて寄る。


 迫る。固める。拳に力。


 咄嗟、相手が崩して軸足。上体が後ろへ倒れて逃げる。

 賭けた。速度。なお前へ。


 繰り出す。右。ストレート。


 相手が沈む。拳で追う。重力より速く衝き入れる。

 ただ狙う。眉間――へすんでの差。


 届く。手応え。衝撃が――抜ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る