03.パルクール編
【まえがき】
アクション小説の極限はどこだ!?という素朴な疑問に対して、私なりに模索した結果をご紹介。
今回のお題はパルクール、よろしくお付き合いのほどを。
【本文】
ドアにノック。聞くからにごつい。
振り返る。ベランダ――の向こうは隣のビルまで街路越し。遠い。
荒くノック。さらに荒い。窓へと身を引く――と、そこへ。
衝撃――安いドアが悲鳴を上げる。
床を蹴る。飛び下がる。そこへ衝撃、蝶番がもう保たない。
ベランダへ出て下を窺う。4階。いま一度ドアを――見たところで。
ドアが挫けた。手前へ倒れる。血気盛んな男――しかも複数。多勢に無勢。
乗り出す。手摺。宙へと上体。足の向こうに敵意が群がる。
足を抜く。宙へと踊る。悪意の群れが空を掻く。
落ち――たところで手を伸ばす。掴む。3階の手摺に手をかける。
上から声。敵意の音。懸垂一つ、足も使って這い上がる。ベランダへ。
幸いにして窓に空隙――と見るなり背後に声。降ってきた。構わず中へ。窓に鍵。
ガラスを打つ音を尻目に床を蹴る。ドアへ取り付き鍵を開けて通路――へ出た途端。
右手、階段に荒く足音。それが複数。
床を蹴る。左へ。非常口。
開け放つ。背後に声。構わず駆け下り――かけたところで。
開いた。下階。非常口。
取って返す。上へ。4階、さらに上。
すんでの差で4階非常口、開く扉をすり抜ける。なおも上。
背後に足音、悪意が迫る。勢いそのまま、駆け抜けて屋上へ――出た。見渡す。隣の屋上が1階低い。
駆け出す。背後に声が追いすがる。隣の屋上が見えてくる。
手前に給水タンク、目星を付けて勢い込む。床を蹴る。
跳んだ。迫る。強化樹脂の給水タンク――の天面に足をつく。
膝にバネ。つんのめる――のは計算済み、右肩から前転、一周回って勢いそのまま起き上がる。さらに前へ。
背後に怒号。振り返るまでもない。敵意が群れて追ってくる。軸足に力、勢いを増して踏み切る。宙へ。
屋上の床面でさらに前転。勢いそのまま向かい側、非常階段目指して走る。
背後に声――が2つ。3つ――目が給水タンクを踏み抜いた。水音。
取り付く。非常階段。駆け下りる。
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