02.カー・チェイス編
【まえがき】
アクション小説の極限はどこだ!?という素朴な疑問に対して、私なりに模索した結果をご紹介。
今回のお題はカーチェイス、よろしくお付き合いのほどを。
イメージ車種は以下の通りです。
主人公側: SUBARU IMPREZA 22B-STi(通称『22B』)
ライヴァル側:三菱 LANCER Evolution Ⅳ (通称『エヴォⅣ』)
【本文】
青いボンネット越しの眼前、紅白のエヴォⅣに映えてテイル・ライト。
車線を左へ。エヴォⅣのヘッド・ライトに浮かんでカーヴ――右。
ブレーキはまだ踏まない。鼻先が前車を捉えかけ――迫る。カーヴ。見極め――今。
ブレーキ。ギアを叩き落とす。つんのめるような減速G。
前輪へ車重を目一杯、グリップ最大で舵を右へ。
慣性に抗ってカーヴを曲がり――始めたところで。
故意にアクセル。後輪が流れる。すかさずカウンタ・ステア、前輪にグリップを残して突入。
フロント・ウィンドウ、横っ面をはたかんばかりに流れて景色――から眼を進行方向へ。
眼と鼻の先でエヴォⅣもドリフト、ただし軌道はやや内側。速度で勝ててもライン取りの差で追い付けない――ように見えて。
続いて迫る。左カーヴ。ギリギリのインを見極める。
わずかに抜いてアクセル、慣性が絶妙な配分で――釣り合う。
グリップ。正面。最短コース。
ギアを落とす。アクセルを開ける。全力加速。タコメータをパワー・バンドへ叩き込む。
地を噛むタイア、背をシートへ沈める加速G。詰め寄る。再び鼻先、前車を捉え――、
瞬時にブレーキ、前へのめる。ぎりぎりのラインでインをこじ開け、再びアクセル――左ドリフト。
リアが流れる。ぶん回すような遠心力。横殴りの景色――から出口を見据える。
まだ抜けない――だが内側。
やや先へ――速度がまだ過分。
外、エヴォⅣ、加速の気配――出口が迫る。
アクセルを抜く。ギアを落とす。グリップが遅れて――来た。踏む。最大トルク。間に合った。
先んじる。前へ出る。短い直線から次のコーナのインへと攻める。
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