第12話 重要な駒

 一馬はウォークマンで『サイレント・ヴォイス』を聴いていた。ZZガンダムにはメチャクチャハマった。

 以蔵はヤスダの命令で幕末に派遣された。

 ツクモは阿修羅、右衛門、修、一馬の4人に協力を約束した。カエルの怪物をも倒してしまう強敵だ。逆らわない方が無難だ。

「台場を攻めるにはツクモたちは重要な駒になる」

 阿修羅が冷静に言った。

 ツクモは渋谷に新しい基地を築いた。

 以蔵は1830年に生まれて1868年に亡くなった。

 

 以蔵が生まれた年、京都地震が発生した。1830年8月19日(文政13年7月2日)に発生した地震。京都大地震とも文政京都地震とも呼ばれる直下型地震で、京都市街を中心に大きな被害を出した。以蔵は0歳の頃の記憶はない。まっ、多くの人間がそうなのだろうけど?

『飛空』を使って京都上空を飛んだ。黒い煙がモクモク立ち込めている。

 ヤスダは武器や兵隊を欲していた。2020年の世界は犯罪が合法化されており、敵もかなり多い。銃を用意するのも容易じゃない。

 京都市街地を襲う内陸型の地震であった。二条城や御所では石垣や塀が崩れ、町人街では土蔵に被害が集中した。被害は京都市内だけでなく、伏見、宇治、淀でも生じた。

 市中の二階建ての建物はことごとく倒壊し、土蔵や塀なども大きな被害が出ていた。御所や公家屋敷地区では壊滅的な被害ではなかった。

 町方の人的な被害は怪我人 1300人、即死280人であるが、御所内や武士の犠牲者数は不明だ。二条城、興正寺、北野天満宮など多数の建築物が被災している。

 以蔵の実家、鳥崎家も京都にある。

 同じ年の9月20日(文政13年8月4日)に松下村塾で有名な、思想家の吉田松陰も生まれた。


 コヤナギ・サトシは、ギャングのボスのツクモから八百長試合を持ちかけられる。サトシはこれを引き受けるが裏切り、本来負ける予定の試合に勝利。これによって、弟と共謀してノミで大きな利益を得る。試合後、ツクモの報復を怖れたサトシは逃走し、恋人のセイコと街を出ようとするが母親の形見のネックレスをセイコがサトシのアパートに置き忘れてきたことが発覚する。

 サトシはアパートに戻ってネックレスを回収し、居合わせたジンボを射殺、その帰路で通りがかったツクモを車で轢き、反撃するツクモと格闘する過程で両人が質屋に監禁される。

 サトシは久々に故郷の宇都宮に戻りたくなった。おふくろや親父に会いたい。

 

 質屋の関係者から暴行されるツクモをサトシが助けたことにより、八百長の裏切りは免責される。

「どういう意味だ?俺を助けてメリットなんてあるのか?」

「人を助けるのに理由なんているのか?」

 サトシはセイコとともに渋谷を去る。


 2年後、1932年9月13日(天保3年8月19日)……江戸で、盗賊の鼠小僧が処刑(獄門)される。


 右衛門と修は渋谷にある基地の娯楽室で囲碁で遊んでいた。

「おまえさん、相変わらず弱いねぇ?」

 これまで3回勝負をしたが、3回とも右衛門の勝ちだ。

 やがて、阿修羅が鉄道を襲ったという報が入った。まだ訓練は出来ておらず、この軍隊では闘えないと抵抗するも、やむなく出動する西澤ノリオ。ノリオは北海道での激闘を思い出していた。


 案の定、隊の練度は低く、阿修羅たちの勢いに呑まれた部隊はバラバラになる。そこに巨大な猫が現れ、鋭い爪に腹を貫かれて武蔵坊メイは落命する。


 ノリオは阿修羅らに捕えられる。しかし阿修羅は彼を殺さず、修に手当てをさせる。回復してきて渋谷を歩き回り、都会の人の生活の風景を目の当たりにする中で、ノリオは阿修羅たちナイトの精神世界に魅せられるようになる。そして阿修羅もまた、ノリオにどこか不思議な魅力を感じ始めていた。


 渋谷に一馬もやって来た。ノリオはバイク好きな一馬にも急速に心を開いていくが、修はノリオに不信感を抱き続ける。

 修の友人は、何者かによって目玉をくり抜かれて殺されたからであった。ダイイングメッセージに『ノリ』とあったのだ。

 修(まさか、西澤が犯人ってことはないよな?)

 だが修に敬意を表すようになったノリオに対し、次第に心を開き始め、やがて修はノリオを許すようになる。

 修(アイツならエリカの代理が務まるかも知れないな?俺たちと違って人間だし?人間を殺す係にはもってこいだ!)


 訓練と談笑と生活の中でノリオは心の中に静けさを取り戻した。

 またノリオは、右衛門がゾンビに襲われているのを戦闘機ドラゴンズブラッドで助けた。

 これを機に、ノリオは右衛門たちからの信頼を急速に勝ち取る。

「以蔵が幕末に行ってて4人になっちまった。アンタが加わってくれると嬉しい」と、右衛門。


 そんな中、ダンスパーティーが行われ、ふだんは怖く厳しいボス・阿修羅が派手なダンスを踊るのを見て皆が笑いあっているスキを狙って、大村上総が差し向けたとおぼしきスパイが密かに渋谷に近づき、襲撃を試みる。ノリオと阿修羅たちは心を一にしてスパイと戦い、ついにノリオは阿修羅たちの味方になった。

 空中戦だけでなくマシンガンの使い方にも長けていた。右衛門が『吹雪』を使ったこともありスパイの動きを封印することに成功した。


 やがて、雪が溶け道が開いた頃、ツクモに呼び出されて阿修羅一行はつくばへ出向く。疑いと警戒の目で一団の行進を見つめる上総。

 一行の中にノリオがいることを見つけて、ほっと笑顔をもらすメイの亡霊。つくば山麓でノリオが見たものは、すでに立派に訓練され、軍備も充実したツクモ軍団の姿であった。


 街に出たノリオは、ガムをクチャクチャ噛んだ青年が、一馬のバイクを奪う場面に出くわす。そんなノリオに、上総は刺客を差し向ける。一方の阿修羅は、反逆することをやめるように上総に迫られる。阿修羅は判断を戦国時代からやって来ていた足利義昭に仰ぐが、義昭は気弱さから目をそむけてしまう。阿修羅は、戦国時代に逃亡してしまった。


 ノリオは、上総からの最後通告を断り、阿修羅たちへの忠誠を誓うが、上総の差し向けた刺客に襲われる。


 その後、一馬やメイの亡霊と共に織田信長から追われた阿修羅を救出する。阿修羅一行は金ケ崎に現れた大蛇を倒し2020へ帰還できたものの、一馬は誤って柴田勝家をコルトガバメントで撃ち殺してしまい、『バリアー』が使用不能になってしまった。

 

 意を決したノリオは反乱軍の一員として、上総とデガワ大佐率いる政府軍に一矢報いる事を決めた。反乱軍は兵力を上回り、榴弾砲まで装備した政府軍を相手に勇敢に闘う。


 阿修羅は右衛門たちを犠牲にしたくない一心で、民間人を大量に登用した。

 マシンガンによる突撃でデガワ大佐を討ち取るも、ガトリング砲により阻止され、民間軍は全員戦死。

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