第4話 アフンルパル
函館で食料雑貨店を営むアフンルパル(アイヌ語で冥界の入り口)の一人息子エレクシ(アイヌ語でタラ)が、山小屋へ向かうイワメテイェプに殺された。
樹木の空洞や川岸の柳原などに棲んでいる怪女。ざんばら髪で、黒い顔には目や口が無く、親指のような鼻が付いているのみである。また川岸の柳原などにも棲むといわれたため、そうした場所では人が泊ることを戒められていた。
イワメテイェプは熊を操ることができ、エレクシを熊に襲わせたという。
復讐を決意したアフンルパルは、『ペガサス』のメンバーたちにイワメテイェプを倒してもらうことにした。
書斎でアフンルパルは本を読むことにした。『ドラゴンズブラッド』は真っ赤なスパイスで細菌感染を防いだりしてくれる。下痢や発熱、便秘、胃腸障害、心理的外傷にも効果がある。戦士が龍と象との死闘の末、龍と象の血から出来たとされる。
一馬たちは歩きながらしゃべった。
「俺たちって人間殺したらマズいじゃん?」
「一馬、殺したい奴でもいるの?」と、エリカ。
「そーゆーわけじゃねぇ。けど、人間を倒さないとイケないことも出てくる」
メイにノリオ……様々な強敵がまだまだいる。
「確かにそれもそうね?」
「修は別の仕事がある、違う奴を採用しよう」
「異論ないよ?アンタらは?」
エリカは右衛門、阿修羅、以蔵を見た。
「問題ござらん」と、右衛門。
「修って一言多いんだよな?せいせいするよ」
阿修羅は最近髪が薄くなって、そのことをバカにしてきた。
「腕のある奴がいいなぁ?」
以蔵はホリッピーを食べている。豆には魔を滅ぼす作用がある。
巨大なマフィア組織『グレインズ』に雇われている凄腕の殺し屋モモヤ。彼の同郷人(🍆出身)でもある組織の二大幹部ヤギとユバはモモヤの腕を買っており、組織でのモモヤの将来は明るかったが、彼は妻に子供が出来たため、殺し屋稼業から足を洗おうと決意する。モモヤは組織からの離脱をヤギに申し入れるが、もはや組織の内情を知りすぎているモモヤの離脱は幹部たちにとって見過ごせる事態ではなかった。
「そんなの許せるわけないだろ!」
ヤギは灰皿を投げつけてきた。
数日後、モモヤが見たものは、腹の膨れた最愛の妻ヨリエと、用心棒アズマが乗った車が炎に包まれている光景だった。
モモヤ抹殺の指令を受けたヤギの部下がモモヤの車に爆弾を仕掛けたところ、誤ってモモヤの妻と用心棒を殺してしまったのだ。
一瞬で愛する者全てを失ったモモヤはマフィアの幹部皆殺しを誓う。
故郷から駆けつけた、イシカワ警視や弟分ウツミ巡査の慰めにも救われることはなかった。
「奥さんが報われないぞ?」
霊安室の前で泣いているとイシカワに叱られた。
「先輩の叶う相手じゃありませんって」
ウツミは甘いマスクをしており、刑事というよりかモデルだ。
「そうだよな?俺が悪かった」
大人しくするふりをして、修は赤羽駅でサブマシンガンを乱射した。
復讐の第1の犠牲者はエノモトだった。
手引きしたのは、以前、修が助けたことがあるエノモトの情婦オリエ。
修はそれまでパイロキネシスを使えたが使えなくなってしまった。
🍆に戻った修はウツミが見つけてくれたアパートに身を隠す。次の標的は組織の大立物カシマだ。オリエの情報によって、幹部たちがカスカベのカシマの元に集まる事を知る。
そして彼が所有する巨大なビルから迎えのに乗り込もうとした瞬間、待ち伏せていた黒服男のオートマチック拳銃が火を吹いた。
「因果なもんだ……」
探していた奴とこんなところで会うなんてな?黒服のおかげで『狙撃』を失わずに済んだ。『狙撃』は遥か遠くにいる敵を撃つ魔法だ。昔、ロケットを撃ったことがある。
流れ弾に当たり、自らも負傷した修は『回復』を使って数秒で回復した。
修は同郷のキジマの友情に救われた。ミニクーパーで迎えに来てくれた。
「修、黒服の正体はクリメだ」
栗目って書くらしい。カシマに破門されたことに腹を立ててたらしい。そして、北海道新幹線を使って、仲間たちのいる街へやって来た。
その頃、🍆では、ウツミが修のアパートの場所を白状させられ、ダガーナイフで目玉をくり抜かれて惨殺される。
ユバの部下は、アパートの部屋に身を隠していたオリエを徹底的に痛めつけ、修の帰りを待ち伏せる。しかし、待てど暮らせど修は現れなかった。
ユバたちはモモヤの正体が修であることに気づいていない。
イワメテイェプの家の電話のベルが鳴った。仲間からだった。
「オマエが死ぬ夢を見た、気をつけろ?」
一馬は先手を打って、イワメテイェプの邸に忍び込み、彼女を射殺。殺し合いの毎日に、さすがに疲れた一馬は無性に故郷が恋しくなり、エリカを連れて函館駅へと車を飛ばした。
組織の面目にかけても修を消さない訳にはいかないヤギは、カシマの葬式の日、部下ケンモチのすすめで、修を救ったキジマを集会所に呼び寄せて取り引きをもちかけた。
間もなくして、イシカワ警視が修にヤギとキジマが同盟を結んだことを教えてくれた。
函館にやって来た修は小腹が減ってコンビニにやって来た。立ち読みでもしようと週刊誌を手にとったとき、一台の車がコンビニの前に止まる。運転席にはクリメ。
晴やかな笑みをみせて歩み寄るクリメ。だが、クリメの手には鈍く光る拳銃が握られていた。沈黙を裂く銃声と共に修は崩れ落ちた。
修は冥界の入り口にやって来た。
同じ日に亡くなった人がぶつかって来たが、感覚がない。
🍑「あれ?クリメじゃないか?」
🌰「あなた、モモヤって人じゃないですよね?」
🍑「誰かから聞いたのか?」
🌰「いいえ、死んだからかな?知能指数が上がったみたいだ」
🍑「馬鹿は死ななきゃ治らないって、よく言うよな?」
🌰「赤点ばっかりだった、モモヤさんって桃屋かと思ったけど、桃谷だったんですね?」
🍑「変な偽名だろ?」
🌰「栗目よりはいいでしょ?」
🍑「桃と栗、漫才師みたい」
🌰「桃栗三年柿八年、梅はすいすい十三年、柚子の大馬鹿十八年、林檎にこにこ二十五年、銀杏のきちがい三十年、女房の不作は六十年、亭主の不作はこれまた一生……やっと言えた」
🍑「何それ?」
🌰 「果樹を植えたら、その実がなるまでに相応の歳月を待たねばならないことから、何事も成就するまでにそれ相応の年月がかかるということですよ?」
🍑「へぇー?桃栗三年くらいは分かるけど、続きがあったんだね?俺、そこそこ頭良かったからな?死んだら馬鹿になってしもた」
🌰「それはご愁傷さま」
🍑「で?誰に殺られたの?」
🌰「カズマとか女から呼ばれてた、一番星に馬で一馬」
🍑「エリカも一緒だったのか?」
エリカは『蘇生』『雷』『豪雨』を操れる。エリカは虚空に三日月を描いた。
修は元の世界に戻った。
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