(6))9月21日
午前4時半すぎに、コインランドリーに行く。5時オープンなので、1番に並ぼうと思った。先客が3人いた。4時50分に電気がついた時から6台の洗濯機が、あっという間に動き出す。
洗濯が終わるまでの30分余りの時間、同じ町内のお母さんたちと水害の話に自然となっていく。
私に家は80センチだとか、1.5メートル浸水したとか。皆同じ。今まで体験したことのない大惨事。市から見舞金がいくら出るとか、県からはいくらだとか、正確な基準もないのに、最後は雑談になってゆく。
大切な思い出、築き上げた財産、そして、濁流と一緒に流されてしまった歴史。公的な見舞金の数字を言われても、遠い他の世界のように聞こえる。
たぶん私は、相当に疲れているのだろう。楽しいことを浮かべられない。眠たいのだけれど眠れない。食べたいけれど、何を食べる。あの濁流を見た直後は、脳内には何が出ていたのだろう。いくらでも動けた。睡眠時間なんていらなかった。でも、落ち着いてきた今は違う。とても落ち込んでいる。
”贅沢を言うな”と、いう人もいれば、”手伝えなくてゴメン”と、見舞いをしてくれる人もいれば、二つ返事で車を用意してくれる人もいる。毎日のように携帯で励ましてくれる人もいる。
人って様々。人間の厚みと優しさが惨事にあって解るなんて、なんだか複雑。
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