#274:動地で候(あるいは、サッチァ/ワンダホォ/ドゥリーミン)
場は、いよいよ熟したように感じられる……だいぶ体感的に時間は過ぎ去ったようにも感じるが、それは錯覚なのであろう。
狂騒が、渦を巻くようにして甦ってきていた。我々を、応援してくれているのか、もしくは、己の身を案じてのどうともならない悲鳴や慟哭の類いであるのかも知れぬ。しかして、
私の心は凪いでいる。いや凪いではいるものの、触れられた瞬間、一気に何かが噴出するかのような、そんなものを内包した「凪ぎ感」とでも言えばよいだろうか、いやいや、そこはもうどうでもよき事である。
この「戦い」を制し、この場の人らを、そして姫様のおばば様を救う。
言葉にしてしまえばひどく
そんな詮無い思いを浮かべていたら、傍らの姫様から背筋の凍るような視線で射抜かれた。あまり考えすぎるなジローネットよ……の如き色を含んだその
彼我の面々たちが、「
ふ、と見上げた電光掲示板には、こちらの「七騎」の面子の名前らしきものと、対する相手方の名前(?)らしきものが。
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Eq#01:池田リア【
Eq#02:ベンロァ=カウボ・メサダ・ジーン【
Eq#03:志木ネイナ【
Eq#04:ケイン堀之内【
Eq#05:根津クニヒト【
Eq#06:矢伏サトル【
Eq#07:為井戸ユズル【
Eq#08:賽野メイスケ【
Eq#09:謎のマン【
Eq#10:印南カエデ【
>
……うむ、清々しいほどよくは分からないが、ともかく相手の方が「十騎」と、戦力差としては、なかなかにこちら側の不利が窺い知れようものであるが。
「……」
そのような数字に臆する我らでは無いことを、この場に集いし一見バラバラに思えるこの面子の佇まいや表情を窺っていて確信している。
そしてさらに、私には心強い「味方」がいるということも。懐に手をやり、腹に突っ込んでベルトで固定している「四本の棒」の手触りを確かめる。伸縮する作りであるところのその「棒」……先ほどモクが私に授けてくれたる大事な物である。
ジローネット様……ジョシュ、姫様を御守りして、そして……無事帰ってきてくださいましねっ、との快い珠のような言葉を紡ぎ手渡してくれたモク……それに報いるためにも、私は勇猛に、かつ冷静に、この戦いの局面を切り抜けなければならぬ。
「棒」と接している肚から染み出してくるかのような闘志を、いましばらく、と己の内に押し留める。
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