♫243:美髯ですかーい(あるいは、不可思議にも/ほどあり日記)

「『……らがにはァ、四人の娘ッゴがおらァッ!! 全部かわいい、俺らの娘ご達だんがァ、双子の妻らが、おんなし日に産んだ双子たちだんに、めっさく似とるんだがばァッ!! だもんでよく間違げえて、三回連続で沐浴ばさせたり、四回連続で離乳食ベビーフードばあげたりしてまうんだがにィッ』」


 コイツの怖ろしいところは、これが真実のDEPであるという点に他ならない。「三回連続」「四回連続」はありえんだろ、いくら「四つ子ちゃん(正確には『二×双子ちゃん』だけど)」とは言え。そしてどこの郷の言葉か分からない。


「……」


 とは言え、駆け引きの仕方としては決して間違ってはいない。どころか、これは読みづらいぞ……ッ? 


 「双子の嫁にそれぞれ双子の娘(そして本人も双子の片割れ)」、これ自体が並みの虚構フィクションでもお目にかかれないような狂気走った設定シチュエーションだ。ここで向こうが「ダウト」をしてこない理由、それはあまり無いのでは……?


 加えて翼の読めないメンタル。DEPを放った今も、そのポリグラフは揺らぎないが、僕も相手さん側も、「平常心のまま虚偽DEPを撃ち放つこと」が出来るということはもう知ってる。姫様のそれが最たるものだし、自分たちもかなり「日本語の曖昧さ」を逆手にとってギリギリを攻めるDEPを放った経験だってあるはずだ。嘘か真か、それを判断するのは非常に難しいだろう。


 ゆえにこの一発目、かなり揺さぶれるはずだ。どの道、何も考えていないことが露呈する翼のメッキが剥がれる二回目以降は、まあノーガードってことになるし、ここ一発、相手の「ダウト」を無為消費させてくれぇぇぇぇぇ……ッ


 しかし、


<ダウト宣告無し>


 僕の左斜めに座る、ディーラー姿の凛々しいサイノさんは、その時、微動だにせず……ッ!! ただその細い顎に細い指をあてがいながら、無言の静観……ッ!!


<先手評点集計中……>


 「ダウト誘発作戦」(というほどでも無かった気もするけど)は敢え無く瓦解……ッ!! こちらの「翼」という人格すべてをも見切ってのことか、それとも初っ端は無難に何もせず、なのかは分からないけど、結果は空振りに終わってしまった。ううん……


 いやまだだ。「結果」はまだだ。


<先手:33,581pt>


 評点!! それが残っていたが、表示されたのはうううぅぅん、微妙に弱い!! そしてやってみて分かった。「トゥルーチーム」には、「フォース」DEPを放つ可能性が例外(【F】【F★】を使い切った後)を除いてつきまとうということ。


 今のみたいに「真で破壊力あるDEP」も、「嘘かも知れない」という評価者へのバイアスがかかってしまえば!! 自ずと評点も出し渋られることになりかねないということ……この対局形式……何というかこれこそが「真」を見せないいやらしさがある……ッ!!


 というかどうしよう、早くも追い込まれ気味なんだけ↑ど→ッ!!


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