♫242:発露ですかーい(あるいは、さだめし/乾坤/第一手)
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「……ぅ俺のカードはこれだぁッ!!」
そこまでは不必要と思われるほどの気合い発声を伴いつつ、先鋒を買って出た翼が、自らの目の前の壇上……「カードニック=スペース」って言ってたっけ、要はカードを立てることの出来る治具のあるところに、一枚の「札」を突き立てる。
「……」
横目でちらと確認した出し手は……【T】。つまりは最も無難で普通なカードだった。あれだけ考えといてそれ……? とか思ってしまったけど、いや待て。
傲岸不遜がデフォルトであるところの、我が
いや、なかなかやるじゃないか……こいつの常に外界に漏れ出ているイキれメンタル、それによる「初っ端に何かやってくるだろう」感は結構なものだろう。【F】【F★】【T☆】……このへんを初手から繰り出してくるって思考、相手側はそうは拭えないんじゃないか? 加えて「常なる意味不明な動じなさ」が、例えば【F】を出していても
もちろん翼も「勝負手」を繰り出す際には、多かれ少なかれ「揺れる」だろうとは思う。だからこその「初手」。こちらの波形のクセみたいなのが相手に分かっていない時点だから、出来る戦略なのかも知れない……
「おう、兄ちゃんが最初の相手かい、存分に、かかって来いやァッ!!」
あ、いや、まるごとひっくるめて「何も分かってない/考えてない」可能性も十二分にあるか……そもそも【T】と【F】の意味すら理解していない恐れもあるな……
ま、まあ、それも込みで読みづらいは読みづらい、はず。それより僕の波形も常に表示されているんだ、今は、平静を保っておかないと。
▽
最初は私が行こう……と主任が凪いでいながらも気合いの乗った表情で言うので。
「……」
ではでは、と私は「
「……!!」
そんな観察の間に、主任がすっと力入ってない感じで「札」を目の前に立てる。こちらに向けられたオモテに書かれていたのは【F】。まずは順当妥当な一手。ここは様子見ってわけかしら。でも相手は何かやってきそうな感じもハンパない。なんて、いろいろ思うところはあるが、主任に任せたからには、私は「平常心」を保ったまま対峙しておくまでだ。
<先手:ツバサ:着手>
実況少女の声が響き渡り、ついに勝負が始まる。
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